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チャペックCEO ザビエル・デ・ロックモーレル 来日、コンプリシテの構造を伺う

WATCH MEDIA ONLINEでも告知した、チャペックCEO ザビエル・デ・ロックモーレルの来日イベント、プレゼンテーションの中で「推測」で書こうかと思っていた新作、プラス・ヴァンドーム コンプリシテの差動歯車機構について明確に説明があったのでレポートします。

差動歯車機構について説明するザビエル。
「子供が小学校の同級生」という奇妙な縁で知り合ったベルナルド・レデラーとのコラボレーションによって長年作りたいと思っていた初代チャペックの特徴的な意匠No3430のスモールセコンド位置に独立したテンプを持つダブルテンプウォッチが実現できました。


私物のケ・デ・ベルク(右)とプラス・ヴァンドーム コンプリシテ(左)。

スモールセコンドサークルを7時30分と4時30分に置き、インデックスは9時から3時までの文字盤の半分に配置する、というデザインコードをダブルテンプの時計に応用していることが分かります。
12時位置にはコンプリケーションの要である差動歯車機構(ディファレンシャル)を配置し、動力の分配と回転速度の平均化、またアンタークティックのようなセンターセコンドの駆動を行っています。
このセンターセコンドの駆動までを差動歯車機構でうまくやる、という事を「推測」で書きたかったのですが、書こうと思っているうちに答えが出たのでチャペック社のスライドで見ていきます。

オーデマピゲスーパーコピー 代引きディファレンシャルの全容です。
一般的な時計輪列の3番車に相当する位置に配置されます。

自動車などで使われる90度で噛みあったピニオンギアを使った構造になっており、入力は真ん中(濃い灰色)のピニオンキャリアに伝わります。
上側の2枚の出力歯車の回転速度に差がない状態ではピニオンキャリアと同じ速度で2枚の歯車が回転、片方がピニオンキャリアに対して早く回転した場合、ピニオンを伝わって逆側が遅くなることで平均速度は一定に保たれます、この2つの出力に対して入力の回転が平均になる、という性質によって2つのテンワの速度の平均で時分針を動かすことができます。

入力は2番車から差動歯車機構の入力ピニオンに伝わりますが、それとは別に大きな歯車が下側についています。
これは何でしょうか?

これはセンターセコンドを駆動するための3番伝え車です。
この歯車が2番車と同軸になっている4番ピニオン相当のピニオンを動かし、2番車軸の中を通ってセンターセコンドを駆動します。
これによりダイレクト時分針の駆動とインダイレクトセンターセコンド針の駆動を無駄なく差動歯車機構に統合することができました。
差動歯車全体が3番車の速度で動いていて、ピニオンを噛み合わせれば4番車(1分で1回転)の回転が取り出せる、という性質を上手く使っていると感じました。
センターセコンドピニオン自体にはトルクがかかっておらず、バックラッシ(歯車の遊び)によるガタが発生するため、伝え車の歯はバネ性を持たせた弾性歯車にし、バックラッシを埋めるようになっています。

歯車を取り付けていないブリッジのデザインを見ると、差動歯車の軸とセンターセコンドピニオンの配置が分かります。
差動歯車機構でダブルテンプにする設計は前例がありますが、センターセコンドとここまでスマートに統合した例はないんじゃないか?と思っています。

また、隠されたシグネチャーとして、レデラーのダブルインパルスクロノメーターでも使われている古典的なリュウズに組み込まれたコハゼがあります。
これは退却量が少なくて巻き上げ効率が良く、巻き上げもスムースで音も優しい、という特徴を持つとのこと。

ただ、ザビエル曰く、コンプリシテは「チャペックの時計」であり、ベルナルド・レデラーの作品とは異なる立場の作品だ、と述べています、これはレデラーのファクトリーでコンプリシテを見たときにレデラー本人からも「それは私の作品ではない」という事を強調されました。
確かにレデラーは有機的というか滑らかなケースを良しとしているデザインですが、チャペックはパキッとしたケース造形を良しとしており、いきなり方向性が違うと言えばその通りです。

今まではアンタークティック専用だったSXH5キャリバーをドレスウォッチに応用した新作、プロムナード。
こちらは逆にセンターセコンド前提のムーブを改造し、4番車ダイレクトのスモールセコンドに改造しています。
今までのチャペックでは「シンメトリー」が一つのテーマでしたが、今回はテーマに囚われず初めて非対称なデザインを採用しました。

センターセコンド軸を中心に波紋のように見えるエナメル文字盤は実際にはフラットで、エナメルベースを僅かに凹凸させることで光学的に凹凸があるように見せかけているそう。

センターセコンド周りの部品がごっそりなくなっているためにシンプルに見えるSXH5キャリバー。
「枝番」とかにしないの?と聞いたところ、扱いはあくまで同一キャリバーとのこと。

アンタークティックも。
考えてみればアップサイドダウン構造の奴も同一キャリバー扱いなのか?って程変わっています。

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チャペックは来年10周年、という話も。
もちろんめでたいのですが、そもそもケ・デ・ベルクを買った経緯が「カンタロスがあまりに壊れるので、自分の扱いが悪いか内省するために初物の自社ムーブ搭載機を使ってみたかった」という事から始まっていて、チャペックを使っている年数≒カンタロスがまともに動いていない年数、な訳で、がっくりと来てしまいました。
その結果、ケ・デ・ベルクはほぼノートラブル(最初期の使用の間違いのみ)なので、扱いじゃなくてクラーレ君が悪い!と結論付けました。
信頼性については「自社ムーブだけど、モジョン(クロノード)に作ってもらって正解だよね!」という話も…

そして日曜日は三越!

何度目かのサインも!

次はジュネーブとヌーシャテルで!

【関連 Web Site】
CZAPEK Geneve:
https://czapek.com/

Noble Styling:
http://noblestyling.com/

[Czapek & Cie]
チャペックは、19世紀のチェコ生まれのポーランド人ウォッチメーカー、フランソワ・チャペック(François Czapek)の精神を受け継いだ現代のウォッチ・メゾンです。183年にチャペックは、ワルシャワでの政治的混乱から逃れ、ジュネーブに亡命しました。そして1830年代に数々のビジネスを創業しました。1845年にCzapek & Cie.(チャペック時計会社)を設立したのち、彼はナポレオン3世の宮廷時計師となり、パリのヴァンドーム広場に最初期の時計ブティックを開きました。チャペックの名前は、2015年にメゾンの歴史とクラフトマンシップを再興しようとする時計愛好家のグループによって復活しました。1850年代のチャペック製ポケットウォッチからインスピレーションを得た、ファースト・コレクションである「ケ・デ・ベルク33bis」は、2016年のGPHG(ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ)でパブリック・プライズを受賞しました。2020年同社は、初の自社製ムーブメントを搭載したスポーツシックなコレクションである、アンタークティックを発表しました。現在、チャペックの時計は、独特なデザイン、高品質の職人技、限定生産で知られています。ジュネーブに本社を置き、ラ・ショードフォンに自社工房を構えるチャペックは、”etablissage”(エタブリサージュ- 水平分業)というコンセプトを現代的な方法で徹底的に守っています。

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