記事一覧

ロレックスの赤サブ Ref.1680など、誰もが満足する時計が揃っているはずだ。

あなたの探しているものを直接、気軽に連絡して欲しい。

タイトルにあるもの以外にも、ヴィンテージチームメンバーがピックアップしたアイテムは、すべてこちらで購入することができる。私たちのお気に入りの3点について、個人的な考察やお気に入りのポイントを読んでみて欲しい。

リッチ・フォードンは、控えめな1960年代のクロノグラフをピックアップし、それがいかにして市場に登場したのか、そのストーリーを紹介する。水曜日の逸品のテーマを挙げるとすれば、それはストーリーテリングだろう。どの作品も、見た目以上の(あるいは書かれた以上の)魅力を備えている。サオリ・オオムラは、1971年のオメガのカタログに掲載された知られざるヒーロー、パティーナがとても魅力的なシーマスター 60を紹介する。そして最後に、ショーン・イーガンは、ひとつだけでなく、ホイヤー オータヴィアとベンラスのとオータヴィア風クロノグラフをそれぞれ紹介している。スーパーコピー 代引きこちらをクリックして、すべてをチェックして欲しい。

1960年代製 ルガン モンゴメリーウォード向け ゼニス製Cal.146HP クロノグラフ
さて、ヴィンテージウォッチの世界で私が最も好きな市場への長い道のりについて紹介しよう。通常、ブランドは時計を製造し、正規代理店を通じて販売することになるが、多くの場合、その時計を市場に送り出し、バイヤーとなる小売店を探し出すのはブランド側となる。このルガンのクロノグラフの場合、文字盤に書かれている名前は、私たちが見慣れた時計ブランドではなく、この時計を製造したブランドでもない。

1960年代製 ルガン モンゴメリーウォード向け ゼニス製Cal.146HP クロノグラフ

ルガンは、1960年代にモンゴメリーウォードの社員によって考案された“エレガント”をもじったブランドだ。アバクロンビー&フィッチなど、この時代のほかの企業と同様、ウォード社はスイスの時計ブランドと提携し、季節ごとの印刷カタログを通じて最高品質の時計を提供した。シカゴで育った私でさえ、これらのカタログ会社がいかに巨大であったかを忘れがちである。アマゾンのプライムデリバリーが登場するよりも遥か以前、そうしたカタログ会社はアメリカ人が通販で店に行く手間を省くための存在だった。現代の私たちには理解しがたいことだが、これらのカタログに掲載されている商品は、今日の便利さから連想する使い捨てのようなものではなく、本格的な品質のものが多かったのだ。

1960年代製 ルガン モンゴメリーウォード向け ゼニス製Cal.146HP クロノグラフ

その方針に従って、このエレガントなルガンは、1960年代後半のスイスで間違いなく最高の自社製スポーツクロノグラフを製造していたゼニスによって製造された。私たちは以前にもこのルガンのクロノを1本提供したことがあり、ほかにもプライベートコレクションで数本見たことがある。そのすべてが、今回紹介する1本と非常に近いシリアルナンバーを持っている。また、ウォード社がこの時計を提供した唯一の証拠が1968年のクリスマスカタログに残されているが、この時計は非常に数が少なく、1〜2年間だけ入手可能だったと思われる。このルガンには、私を魅了するようないくつかのディテールがあるが、文字盤が1960年代後半の偉大なモバードのM95の文字盤にあまりにも似ており、偶然の一致とは思えないのだ。というわけで、商品説明で、さらにマニアックな詳細と美しく撮られた写真をチェックしてみて欲しい。

1971年製 オメガ シーマスター 60 Ref.166.062
私はこれまで、オメガの時計を何本見てきたか正確にはわからないが、オメガがこれまでに生み出してきた時計の数々とデザインの幅広さには、いつも驚かされる。スイスの伝統的な時計メーカーの多くは、いわば自分たちの泳ぐコースに留まっているが、オメガはその真逆に飛び込んでいった。貴金属を使ったドレスウォッチのコンステレーションから、伝説的なクロノグラフとなったスピードマスターなど無数のデザインを追求し、果敢に拡大し続け、いずれのモデルも現行コレクションとして存在し続けている。

1971年製 オメガ シーマスター 60 Ref.166.062

ヴィンテージのおもしろさは、何百ものデザインが展開されるなかで、レーダーの下に残る無名のデザインがきちんと存在するところにある。このオメガ シーマスター 60は、まさにそのカテゴリーに属するものだ。1948年にデビューしたシーマスターコレクションは、ややドレッシーなスタイルから真のディープダイブツールウォッチスタイルまで、幅広いデザインに対応している。そのなかでも最も有名なのが、シーマスター 300コレクションだろう。シーマスター 300コレクションは、主にプロダイバー向けだったが、ダイビングが主流になるにつれ、ダイバーズウォッチの需要も高まった。そこでオメガは、200m、120m、60mといった低い水深用のダイバーズウォッチを多く生産するようになる。60mのモデルは、60年代末に登場した初期のモデルで、それほど一般的ではなかった。

シーマスター 60が私の今週おすすめのヴィンテージウォッチである理由は、ほかのシーマスターと比較して楽しくて気まぐれな感じに見えるからで、プロ仕様のダイバーズウォッチが必要なほど深く潜るつもりもないのだ。60年代と70年代の美学をバランスよく表現しているところも気に入っている。少し角ばったケースに、ブルーの文字盤、そして文字盤の外周にはブルーとホワイトのチェッカーモチーフが施されている。当時のダイバーズウォッチは、白やクリーム色に対して黒文字盤でコントラストを効かせた視認性の高いものが多かったため、ブルーは色としてなかなか一般的ではなかった。ダイバーズウォッチというと、普段使いのサイジングに悩むものだが、このモデルは36.5mmとジャストフィットで、厚さも11mmとかさばらないのが特徴だ。私が本当に魅力的だと思う部分は、この時計には場違いで不要に見える大きな丸いリューズだ。実はこのリューズ、クイックセットデイトの機能として、リューズを引いたり押したりすることで日付が進むようになっている。そのために大きく丸いリューズを設けるなんて、どれだけ天才的なのだろう。

1971年製 オメガ シーマスター 60 Ref.166.062

ついつい流行りにとらわれがちなヴィンテージウォッチだが、その醍醐味は、あまり見かけないものや、存在すら知らなかったものに偶然出合えることにある。そして、このオメガのシーマスターは、そのようなヴィンテージウォッチのなかでも、もっと知りたいと思えるような時計だ。このオメガ シーマスター 60は、まさにそのような謎めいた、あまり世に知られていない存在でありながら、腕にしっくりとなじむカッコいい時計なのである。

1970年代製 ホイヤー オータヴィア “バイセロイ” Ref.1163 & 1970年代製 ベンラス クロノグラフ デイト Ref.73463
ときには、オリジナルだけが唯一のものということがある。しかし一方で、ジェネリックが同じくらいいいということもある。そしてごくまれに、ホワイトラベル(※)のほうがブランドの製品より優れていることもある。今日のヴィンテージセレクションは、自分で判断するしかないだろう。当時、ホイヤーがベンラスのために時計を作っていたかどうか定かではないが、少なくともケースと文字盤を同じメーカーから買っていたことは確かだ。

※編注;ある企業が生産した製品やサービスをほかの企業が自社ブランドとして販売すること。

1970年代製 ホイヤー オータヴィア “バイセロイ” Ref.1163

“オレンジボーイ”という愛称でコレクターに親しまれているオータヴィアは、おそらく最も魅力的なオータヴィアのバリエーションのひとつだろう。そのため、私たちもこのモデルをベースに限定モデルを製作した。ブラックダイヤルにコントラストの効いた視認性の高いオレンジを配したことから、その名がついたことは容易に想像がつく。しかし本日紹介するのは、それとはまったく違うもので、ラジアルブラッシュ仕上げのトノーケースを採用した最初の時計、ベンラスのRef.73463だ。そう、米軍仕様の時計と関係の深いブランドが、レーシングクロノグラフを手がけていたのである。1970年代には、これと同じケースを使用したモデルが数多く発表され、大きな話題となった。

1970年代製 ベンラス クロノグラフ デイト Ref.73463

クーポン券とタバコのバイセロイのカートンの端があれば、88ドルで手に入ることから“バイセロイ”の愛称で親しまれるホイヤーのオータヴィアと比較してみて欲しい。この時計の希望小売価格が本来200ドルだった頃、このブランドは多くの時計を販売しており、この取引のために1パックを買って捨てるだけの価値があったのだろう。“ホイヤーマン”のジェフ・スタイン氏は、こちらで、この件についてもっと詳しく説明している。さて、時計についてだが、今回は自動巻きムーブメントを搭載した、初の自動巻きクロノグラフのひとつで、ケース左側にリューズが付いている。そして文字盤には、バーゲンプライスのボックスと同じように、オレンジ(赤)と白のアクセントが効いている。

あまり知られていない色鮮やかなクロノと、人気のあるクロスプロモーションモデル、あなたならどちらに軍配を上げるだろうか? いずれにせよ、こちらとこちらでチェックしてみて欲しい。

スイス系カナダ人のニューヨーカー、ジェシー・マーチャントの処女作、モデル No.1。

コーヒーと白身魚のサラダ、薄切りにしたトマトを挟んだエッサ・ベーグルのエブリシングを食べながらInstagramで週末恒例の時計チェックをしていたとき、ある投稿が私の手を止めた。大食漢の私にベーグルを置かせるのは容易ではないのだが、その土曜日の朝は、まるで石ころみたいに手から転がり落ちてしまった。

私は視力が衰えたてきた年配者がするように眼鏡を持ち上げ、スマートフォンを目に近づけた。スグと私の手首はよく似ていて、この時計は彼にぴったりと合っていた。しかしなぜだろう? 私は時計界のネス湖を見るような気持ちで、36mmのGMTを見つめていた。

私は時計を趣味にしはじめたころから、スーパーコピー時計 代引き懇親会や記事の下にあるコメント欄のような場所で、36mmのGMTについてうるさいぐらい力説していた。いつも人々は優しく肯定しながら私から距離を置き、手元にきらめくサイドキック(相棒)、つまりバットガールのほうへと去って行ったものだ。GMTはかつて手首の太いパンナム航空のパイロットが使っていたもので、40mmが妥当なサイズだというのが定説になっている。だが、そんなことはどうでもいい。確かに、私のお気に入りの時計のひとつには、60年代半ばに作られたロレックスの1675 GMTがある。そして、どのブレスレットよりも腕になじむのでレザーストラップをつけている。しかし、この時計はまったくの別物であった。

 その時計はロルカ モデル No.1という。24時間表示を備えたステンレススティール製の固定ベゼルは、ロレックスのエクスプローラー IIを彷彿とさせる。文字盤の中心からはミニッツインデックスが放射状に長く伸びており、きれいなブルズアイを形成している。私は時計に関する記憶を探ってみた。グライシン エアマンのヴィンテージに少し似ているだろうか? 現行のモデルでいうと、どこかローラン・フェリエのガレ トラベラーのようでもある。しかし、いろいろと比較した結果、この時計は天才的な発想に基づく唯一無二のプロダクトであるという結論に達した。

man in chair wearing lorca watch
 その発想の主は、現在ブルックリン地区に住むカナダ人シンガーソングライター、ジェシー・マーチャント(母親がスイス人なのが決め手)である。マーチャントのツアーミュージシャンという職業が、このモデルの開発のきっかけとなった。彼はヨーロッパと北米のツアーに参加するために、GMT機能を搭載し、200mの防水性能を備えた、スタイリッシュで洗練されたデザインの時計を望んでいた。ホテルのプールに入り浸りながら、幾多のブックツアー(各地をめぐるプロモーション)を乗り越えてきた私にとって、マーチャントの条件はまさに理想的であった。私は彼に会わなければならない。この時計を、身につけなければ。

 数週間後、私はイーストビレッジのモロッコ料理店で彼の向かいに座ってラムのタジンを食べながら、恒例となった午後7時のマティーニを飲み、その手首にはロルカをつけていた。ダイヤモンドカットが施されたインデックスがキャンドルの光に照らされて輝き、ライスビーズのブレスレットは上品でしなやかな印象をふりまいていた。この時計は、すべてが完璧に近い。マーチャントが持ってきたGMTは、ブラックダイヤルとシルバーダイヤルの2種類。シルバーには控えめなエレガンスが漂うが、老眼の私にはブラックダイヤルの方がわずかに見やすく見えた。

lorca watch
 マーチャントにこのGMTモデルに影響を与えた時計について尋ねると、まるで百科事典のように複雑な答えが返ってきた。思ったとおり、究極のデザインに影響を与えた時計はなかったようだ。その代わりに、彼は1950年代と1960年代の時計について、大学院で行う研究レベルの深掘りを行なってくれたのである。例えば、ニーナ・リントモデルのクロノグラフに見られたフラットベゼルやRef.166.010のオメガ シーマスター、IWC マークXIIの2フックエンドリンク、偉大なロレックス Ref.1600に、ヴィンテージのジャガー・ルクルト メモボックスなど。そして、GMTのシルバーインデックスバージョンに影響を与えた、祖父の所有するリチャードの懐中時計についてだ。ウォルト・ホイットマンを引用して言わせてもらうなら、ロルカ モデル No.1には“contains multitudes”……、すなわち“多くの要素が含まれている”。

close up of lorca watch dial GMT hand
“マイクロブランド"という言葉は、"オート・オルロジュリ(高級時計)"の対極にある呪いの言葉のように語られることがある。しかしここ数年、既製品のムーブメントを使用することで2000ドル以下に抑えた、独創的で素晴らしい時計を目にするようになった。 これら傑作たちは、レーザーの焦点のように鋭いビジョンを持つ唯一無二のクリエイターから生み出されている。シカゴのブランド、オーク&オスカーでチェイス・ファンチャーが作るサンドイッチダイヤルや、グラスゴーのアンオルダイン(anOrdine)を手がけるルイス・ヒースがエナメル細工で描く、華麗な極彩色の世界を思い出して欲しい。マーチャントの時計もまた、そのような孤高の作家性を体現した例のひとつといえるだろう。

lorca watch
close up of lorca watch dial
close up of strap of lorca watch
 この時計がどのような美的感覚から生まれたものなのか、最初は理解しがたいかもしれない。例えば、ブランド名や“20 ATM GMT”の文字、デイト表示やアワーベゼルには複数のフォントが使用されている。しかし結果として、不協和音ではなく、これしか選択肢がなかったかのような不思議な一貫性が感じられるのだ。詩的なニュアンスの"Lorca"は筆記体で表現されるべきだが、“20 ATM”はそうではない。36mm(ベゼル込みで37mm)の文字盤には多くの要素が盛り込まれているが、余計なものは何もないように思える。

Gary Shteyngart looking at a watch while sitting in a chair
 ロルカをつけ、プールで幾度となく泳いだ1週間。私がなぜほかのどんな機能よりもGMTウォッチを愛しているのか、これまでとは違った視点で考えるようになった。旅行で頻繁に身につける時計だから、自然とノスタルジーを誘うのである。 それらはV.S.ナイポール著『The Enigma of Arrival』のように、はるか昔に行った旅を思い起こさせる。しかしそれと同時に、ほんの数時間で地球の裏側にいける魔法にも気づかせてくれるのだ。また、旅に出て数時間、あるいは数日後という短期間に現れるノスタルジー、すなわちホームシックの存在もある。そんなときには、ホームタイムを示す針の存在が、家族や子供、恋人、見慣れたランドマーク、そして週末に歯のあいだに挟まるベーグルなどの代役になってくれる。

drilled lugs on the Lorca GMT watch
the bracelet on the Lorca GMT watch
 ほかの腕時計と違い、GMTウォッチは旅における神秘と、家を離れて初めて見えてくる故郷という概念の両方を内包している。かつてイタリアに1年以上滞在したことがあるのだが、そのときは偉大なイタリア小説ではなく、旅立ったばかりのニューヨークを舞台として本を書いていた。モンゴルのユルトやローマのワインバー、あるいは行きつけの油くさい食堂で文字盤を見つめているときでも、美しく構築されたGMTウォッチは異なるふたつの地点を結ぶ架け橋となってくれる。

lorca watch on wrist
 さて、時計マニアが大激怒するような話題に挑戦してみようと思う。そう、ロルカは“Caller”(“Flyer”に対して)GMTであり、ローカルタイムの時針を単独で設定することができないのである(“Caller”GMT、“Flyer”GMTについての詳細はこちら)。GMTウォッチはやはり“Flyer”がいいだろうかと聞かれれば、そのほうが便利なのは間違いない。しかし、6時間以上飛行機に乗るのであれば、そのなかの数分間を時計の設定に費やすことは大きな問題ではないだろう。むしろ心を静めて無心になれる時間であり、お気に入りの時計と戯れ、始まったばかりの旅に備えて時計と自分自身を調整するいい機会でもある。私のロレックス GMTマスター 1675は日付のクイックチェンジ機能を備えていないため、時計の調整はなかなか面倒だ。しかし、ジェットエンジンが私を眠りへいざなう前に作業をするのが楽しみにもなってきている。ちなみに、マーチャントはミヨタの新しい“Caller”GMTムーブメントの使用も検討していたが、ミヨタをしのぐ精度(±4秒)で信頼に足るソプロッド製トップグレードムーブメント、C125を採用した。

The caseback of a Lorca GMT watch
The box for the Lorca watch
 私のお気に入りの時計のひとつに、超薄型のアクアノートがある(あらゆる理屈に反してメタルのブレスレットをつけているが)。予約受付の開始を3月7日(火)に設定したロルカ。その価格は1450ドル(4月に1750ドルに値上げし、11月に出荷予定)とアクアノートよりもはるかに手ごろにもかかわらず、腕につけた感触には似ているところもある。薄型(厚み11.2mmはGMTとしては驚異的)でありながら驚くほど頑丈な時計は、それだけでユニークな存在だろう。ロサンゼルスのゴージャスなプールで泳いだり、大西洋の青く泡立つ海を泳いだりするときに、このようなクラシックなプロポーションの時計を身につけるのは最高の気分だ。ロルカ モデル No.1 GMTはまるでひとりの男の想像力の深淵から湧き出たかのようで、ついに私のコレクションの隙間を埋めてくれる存在が現れたことに、この上ない喜びを感じている。この時計はまだ発売されていないが、すでに私の分はキープさせていただいている。