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カシオが時計事業を開始してから50周年にあたる2024年。

これを記念して今年は数々のモデルがリリースされてきたが、それらに並ぶプロダクトとして初代G-SHOCKの復刻作となるDW-5000Rの発売がアナウンスされた。これまでにも初号機のリバイバル作品は折に触れて限定でリリースされてきたが、本作は従来の復刻モデルとはコンセプトが異なっている。本企画の目的は、これまでスポット的にアピールしていたG-SHOCKの歴史やクリエイティビティを新旧問わず多くのファンに届けること。そのため約40年後の現代において、オリジナルのデザインのみならず1980年代当時の雰囲気やストーリーを忠実に再現することが求められた。

G-SHOCK初号機の精神を表現するうえで重視されたのが、DW-5000Rの生産体制だ。1983年に発売されたDW-5000Cは、カシオのマザーファクトリーである山形カシオで製造されていた。今回の企画においてはこうした背景も考慮され、DW-5000Rの生産は山形カシオで行うことが決定された。現在の樹脂製モデルの多くは中国を含むアジアでの生産が中心であるなか、MADE IN JAPANを強調することで単なるデザイン復刻にとどまらない明確なストーリー性を与えたのだ。さらに本作では、初号機に倣ってレンガパターンの文字盤下部に“JAPAN”の文字を記している。これは従来の初号機復刻モデルには見られなかったものだ。最信頼性の日本スーパーコピー時計代引き専門店!こうした表記を復活させている点からも、オリジナルを忠実に再現しながら日本発のブランドであることを伝えていこうとする、カシオの強い意志が感じられる。

生産体制に明確なコンセプトを立ち上げたカシオだったが、製品化までの実際の道のりは困難を極めたという。近年のG-SHOCKは設計図を3Dデータで作成、保管しているが、初号機が開発された1980年代は当然のことながらデザインは手書きで行われていた。そこでまずは手書きの設計図を3Dデータとして起こし、これをもとに試作品が作られた。しかしカシオが保有している初号機と比較したときに、明らかなサイズの違いを感じたという。それもそのはず、当時は金型の寸法も現在ほどの精度は出せず、量産するうえでの許容値も今ほど厳格ではなかった。設計図を厳密にデータ化してもまったく同じ製品にはならないと考えたカシオは、当時の図面を参考にしつつも、基本的にはオリジナルモデルの実物を設計図に落とし込むという通常とは真逆のプロセスで設計を進めていった。

1980年代に登場したG-SHOCKの初代モデル、DW-5000C。

DW-5000RはSS製のインナーケース、およびケースバックを備える。

さらに復刻のハードルを高めたのが、耐衝撃性や防水性などG-SHOCKを製品化するうえで不可欠となっている評価規格だ。もちろん初号機が開発された当時もこうした基準は設けられていたものの、現在の評価項目はなんと100以上にも及んでいる。各モデルはこれらのなかから設定された項目をクリアし、G-SHOCKとしての信頼性を担保する必要があるのだ。今回の復刻モデルも、現在の基準を踏まえたうえでのオリジナルの再現が求められた。そのためには内部のパーツや素材も当時と同じというわけにはいかず、現在の基準に合ったアップデートが検討された。結果としてケース幅はオリジナルより0.7mm拡大した42.3mmとなったが、これも実物から起こした設計図を単純にスケールアップしたわけではない。新規のサイズに合わせてオリジナルが持つ各部の形状を微調整し、外観のバランスを修正するなど、再設計に近いプロセスを辿ったという。

またDW-5000Rでは初号機にも見られたSS製のセンターケースを採用しているだけではなく、核となる耐衝撃構造もG-SHOCKの生みの親である伊部菊雄氏が考案した中空構造(モジュールを小さな点で支えつつ、その周囲にわずかな空間を設けている)を取り入れている。これらはオリジナルを継承した設計だが、一方でモジュールとセンターケースのあいだに挟まっている緩衝パーツは素材から見直し、この緩衝パーツで押さえる位置も変更するなど、現在の基準をクリアするための微細なアップデートがいくつも加えられている。

現代的なアップデートはこれ以外にも確認できる。なかでも代表的なものが、バイオマスプラスチックを採用したアウターベゼルとストラップだ。近年カシオは環境負荷低減への取り組みを推進しており、それが本作にも反映されている。またバックライトにはLEDが使われ、暗所での視認性をさらに向上させているが、それは電池の持続時間を従来の約2年から約5年へと延伸させることにもつながった。一方で、オリジナルをより忠実に再現するべくカシオが重視したのが、ベゼルの造形だ。2001年のDW-5000-1以降、復刻モデルはベゼル上下の“PROTECTION”と“G-SHOCK”の表記部分が1段高くなる凸形状を取り入れていた。この形状は時計が落下した際にガラス面を保護する耐衝撃構造の一部ではあったのだが、コアなファンからはオリジナルと同様のフラット面が求められていたという。DW-5000Rではケースのサイズアップによってフラット面を実現しつつ耐衝撃の確保にも成功。ついに、その造形をよりオリジナルに近づけることに成功した。微細な違いに見えるかもしれないが、これにより近代のG-SHOCKが持つスポーティさがやや抑えられ、どこかクラシックでノスタルジックな風貌に仕上がっている。

しかもDW-5000Rの登場に関連し、カシオからはさらなるニュースがアナウンスされた。それが初号機のカラーを落とし込んだモデルの同時リリースだ。 “ICONIC STYLES”とネーミングされたそのラインナップはDW-5600RL、DW-6900RL、GA-110RL、GA-2100RLというG-SHOCKを象徴する4モデル。ブラックを基調としながら、レッド、イエローをアクセントに添えるお馴染みのカラーコンビネーションを用いることで、脈々と受け継がれてきた耐衝撃性能や、それを製品化させるための情熱を現在に伝える役割を担っている。

DW-5000Rは確かにこれまでの復刻版よりもオリジナルに忠実に仕上げられた、熱心なファンにとっては1980年代当時のノスタルジーを強く感じさせるモデルだ。そのうえで素材や機能面は現在にふさわしい内容にアップデートされているのだから、単なる復刻ではなく“初号機の外装をまとった現代版ORIGIN”と表現するのがふさわしい作品かもしれない。しかも本作はカシオウォッチ誕生50周年の記念すべき年に発売されるにも関わらず、限定ではなくレギュラーモデルのひとつとして展開される。カシオウォッチのターニングポイントであり、時計史における金字塔でもあるG-SHOCK──その独創性を改めて実感するには、絶好の機会になる。

日本きってのファッショニスタは時計選びも独特の感性を持つ。

海外でのコミュニケーションアイテムだったり、自身の憧れを掴んだり。好きというパッションやサービス精神溢れる人柄を表しているようなコレクションたちだ。

ファッションキュレーター・小木“POGGY”基史(以下、ポギー)。セレクトショップ在籍時に培った、確かな見識とポップカルチャーやヴィンテージウェアを巧みにミックスするユニークなスタイルで、日本のみならず世界中から注目を浴びる人物だ。そんな彼が、実は最近時計にも熱を上げているという話を聞いた。長年、自身のベーシックにしてきたものはG-SHOCKで、所有する数は50本以上にものぼるという。

ポギー氏にとって時計は、自分のコーディネートに合わせて個性を足したり引いたりするものであると同時に、自分にとっての憧れを投影するアイテムだ。永遠のアイコン、エルヴィス・プレスリーに抱いた思いを込めたベンチュラやキングマイダスには一貫性があり、彼のスタイルに絶妙なマッチングを見せる。下積み時代に抱いた強い思いのもとで集めたというカルティエは、ウォッチコレクティングにおいて誰もが共感できるエピソードだろう。

そしてやはりポギー氏に聞きたいのは、なぜ今日その時計を選ぶのか? どういう意図で着こなしに時計というアクセントを加えているのか?ということだ。ポギー氏の、ときにチャーミングな時計選びにおけるエッセンシャルをぜひ楽しんでほしい。

G-SHOCK G-5600-1 with カーハート

この“懐中時計”スタイルのG-SHOCKはHODINKEEでも取り上げたことがあるため、最信頼性の日本スーパーコピー時計代引き専門店!知っている人も多いはずだ。10年以上は所有しているという本機は、ベーシックなG-5600-1のバンドを外し、ヨーロッパの蚤の市(パリのクルリニャンクール、もしくはロンドンのポートベローとのこと)で見つけたヴィンテージのチェーンやカーハートの1900年代初頭のチャーム(ウォッチフォブ)でコーディネートされている。ファッションのコレクションシーズン、海外に出向くことも多いポギー氏は、外国の人に合う際にどうしたら笑ってもらえるか、コミュニケーションが盛り上がるかという問いを大切にする。この“懐中G-SHOCK”は、かなりの確率で周りの笑顔を引き出すことのできる鉄板アイテムになったそうだ。日本の時計でコミュニケーションが生まれることもうれしいと頬を緩める。なお、こうした変わったアレンジを加える場合は、定番アイテムでと考えているとのこと。

元々、時計のことをファッションの一部と捉えているポギー氏は、スーツスタイルにG-SHOCKをどうやって合わせようと長年悩んでいた。コーディネートを捻っていくことが好きで“ガチャガチャしている”と自ら語るオリジナルのスタイルには、シンプルな時計を選ぶことが多いなか、どうやってもスーツにG-SHOCKはしっくりこなかったそう。

カーハートのダブルニーにドレスウォッチ、など対極なものを合わせる楽しみを見出していたなか、長年の課題としていたスーツスタイル×G-SHOCK。そんな折に、ニューヨークのアーティストであるトム・サックスの作品からインスパイアされる。カシオ製の時計本体にストラップをつけたようなその作品をもとに懐中スタイルを生み出し、以来、スリーピースのウエストコートに着けたり、フラワーホールにあしらったりと活用しているそうだ。

G-SHOCK フロッグマン DW-6300 “NO-SHOCK”

50本以上のG-SHOCKからポギー氏が厳選したのは、一瞬それだとわからないフロッグマンだ。古着やヴィンテージアイテムも愛する彼は、時計でも敢えてボロボロに使い込まれたような質感のものを自分のファッションに合わせられないかと考えた。ナイキのエアフォース1やアディダスのスタンスミスのように、少し履いて汚れた状態を通り越してボロボロに使い込まれたからこそ出るいい味、それをG-SHOCKにも求めた末に発見したのが本機だ。通常DW-6300 フロッグマンは、アシンメトリーな形状の樹脂製ケースカバーで覆われているが、この1本は加水分解でカバーが壊れかけた状態のものをヤフーオークションで探したそうだ。“ちょっとふざけているかもしれないけど”と前置きしながら、この時計を“NO-SHOCK”と呼んでいる、と教えてくれたポギー氏は、着こなし同様チャーミングだ。

こうしたアイテムは時計に限らず常にアンテナを張って探しているというポギー氏は、その背景にセレクトショップ出身であることが大きいと語る。国やカテゴリ、時間軸、カルチャーのミックスで成り立つセレクトショップの概念は日本独自のもので、ポギー氏もそれらをすべて見た上で自分流にまとめたいと考えている。その自分のテイストにマッチさせる時計として、一生G-SHOCKでもいい、と考えた時期もあったというが、最近はそのフィールドを高級時計にも踏み出したようだ。

自分にとってG-SHOCKはアニメとかカラオケみたいなものっていうか。高校生の頃から今でも好きな、気楽に着けられるもの

– 小木“POGGY”基史
ハミルトン ベンチュラ“POGGYTHEMAN”

ポギー氏が高級時計への関心を高めるきっかけとなったのがこのハミルトンだ。彼が中〜高校生の頃、影響を受けたカルチャーが凝縮されたようなこの1本は、エルヴィス・プレスリーやジェームズ・ディーンへの憧れを投影し、さらに故郷・札幌時代に地元で足繁く通った古着屋の先輩たちが着けていていて羨望の的だったベンチュラをベースとしている。

本機はポギー氏のプレスリー好きを知ったハミルトンが、別注企画のオファーをしたことで実現。前身を黒で統一しながら自身が手掛けるキュレーションブランド「POGGYTHEMAN」のロゴがケースバックに。ストラップ裏面にピンクを配したのは、プレスリーがデビュー当時に地元で初めて仕立てたピンクのスーツに由来するという。

プレスリーの登場によってメンズファッションに生じた変化は大きかったとポギー氏は熱っぽく語る。それ以前は、大人のためのスーツか若者向けの服しかなかったが、プレスリーによって若者のためのスーツなど保守的だったメンズの洋服に新たな潮流が生まれたそうだ。そんなプレスリーが身につけたのが、左右非対称のデザインを持ったベンチュラやキング マイダス。それらを着けて入浴したりと個性的すぎるエピソードに引かれ、先のスーツの裏地のエピソードと合わせてポギー氏だけの時計として結実した。

クレドール ロコモティブ Ref.GCCR999

やっぱりブレスレットが欲しい…!

元来より凝り性であるというポギー氏は、興味を持ったことは気づくととことんのめり込んで調べてしまうという。現在の愛車であるポルシェ 911(タイプ996)の前に乗っていた、ホンダ シティ カブリオレがきっかけとなってクルマのデザインについて掘り下げるうちに、ピニンファリーナなど著名なカーデザイナーの存在を知る。1979年に発表されたこの元祖ロコモティブは、ご存知のとおりジェラルド・ジェンタによるものだが、クルマと同様に機械式時計のデザインに関心を抱いて調べるうちに最初に知ったデザイナーが彼であることから、長年焦がれた1本なのだそうだ。ジェンタによるデザインは高級時計の世界に多いものの、そうではなくてもっと親しみがもてるモデルを探し求めた結果、ロコモティブにたどり着いた。

手に入れたきっかけは、自身の思いを共有していた友人がある日この時計を購入し、しばらくして“自分がしているよりポギーに似合うから”と誕生日ギフトとして譲り受けたという。ただ、今思うことは、ブレスレットあってのロコモティブだろう!ということらしい。もし余分にブレスレットをお持ちの方がいたら、ぜひHODINKEE Japanかポギー氏に直接知らせて欲しい。

ロレックス チェリーニ キングマイダス

G-SHOCKから始まった時計探しの旅は、ポギー氏にとってはいつ終わるとも知れないものだ。ベンチュラも、ロコモティブのときもこの1本で十分だ、と考えたもののその後も旅は続いていく。

ポギー氏にとってのスター、プレスリーにまつわる時計はベンチュラに留まらない。彼がゴールドブレスレットのキングマイダスを着用した画像を今でも見ることができるが、ベンチュラを経てポギー氏がたどり着いたのは必然だったように思う。このモデルは、チェリーニコレクションの傘の下に入ったのち、レザーストラップ仕様で販売された19xx年当時ぐらいのもの。幾何学的な五角形フォルムとブルーの文字盤が好相性で、ドレッシーな装いに加えるスパイスとして着用しているようだ。

フルオリジナルではない個体だが、ロレックスによる正規の修理履歴もありポギー氏としては十分に納得して手にした1本だと語る。

自分の人生とかストーリーに合ってないものを身につけると、急に格好よくないものに見えてしまうものが時計。すごく小さな面積にその人の個性や生き方がギュッと凝縮される。だからこそ安易に選べない。難しいけれど楽しいもの

– 小木“POGGY”基史
カルティエ サントス ロンド

非常にキレイな状態に保たれたサントス ロンドは、20代の頃、セレクトショップのプレス担当をしていた時代にポギー氏が初めて手に入れた機械式時計だ。当時の先輩バイヤーに連れられ、ネペンテスの代表 清水慶三氏と初対面した際、彼の手元に見つけたサントスのボルドー色の文字盤に猛烈な憧れを抱いたという。20年以上前には、カジュアルな格好にカルティエを着けている人はほとんど見なかったとポギー氏は振り返る。

当時は予算的にも手が出なく、同じものは断念しつつも手の届くカルティエのバイカラーモデルをと買い求めたのがこのサントス ロンドだったそうだ。長年愛用するうちブレスレットが破損してしまい、最近になってメンテナンスに出したところ、一部現行の新品のような仕様に変わったこのブレスレットに代わって戻ってきたという。セカンダリーで機械式時計が買えるほど代金がかかったそうだが、自分の原点のようなものでこれからも着け続けたいと語ってくれた。

カルティエ サントス カレ

そう、この1本はポギー氏が20代のころから憧れていたという、あの清水氏がしていたサントスに近いものだ。懇意にしているというショップ・ECW SHOTOがオープンした際、入荷しているのを確認してすぐさまキープをして入手したそう。ロレックスでは一般的になっているスパイダーダイヤルやトロピカルなど、経年変化による味の出たカルティエはないかと探していたところ巡り合った。

サントス カレは、当時の新たな潮流であったブレスレット付き高級時計の流れのなかで、カルティエがエベルとのパートナーシップの元で1978年に開発したもの。見事にモダナイズされながら初代サントスの意匠を残した本作は、アイコニックなビスをベゼルとブレスレットに配し、ローマ数字とレイルウェイの文字盤はほぼそのまま採用した。ポギー氏が手にしたものは1980年代の個体で、サントス カレとしては限定品に近いモデルだ。同時期にカルティエスーパーコピー時計販売おすすめ優良サイトの主要なコレクションであったマスト タンクでも見られたモノトーンのラッカー文字盤を用いた中期以降のこのサントス カレは、ツートンモデルをメインとしたラグジュアリーなコレクションであったため珍しいSS仕様だ。

なお、このバーガンディの他“ゴースト”と呼ばれるグレーの単色ダイヤルも存在する。サントス カレのラッカーダイヤルは、割合的には通常ダイヤルモデルが100に対し1本見つかるかどうか、という程度の生産数のようだ。

デニムも愛好するポギー氏は、このサントスを自分で糊付けをして味出しをしたヴィンテージ・リーバイスのようだと語る。クルマを運転している自分の手元にさした日差しによって文字盤のひび割れが照らされた瞬間、まるでキレイな夕日を見たような、なんとも言えない感動を楽しんでいるという。身に着けて楽しむ、を信条としているポギー氏はこの時計で本当に打ち止めだと考えていた。しかしその後、既にカルティエのトーチュをコレクションに加えて新たな沼に入り込んでいるようだったため、またどこかの機会でお会いできたらと考えている。

グランドセイコー史上初となる機械式複雑時計は、今回新たなコンセプトのもとにさらに20本が追加製造された。

グランドセイコーは2年前に、おそらく多くの人がとっくの昔にブランドが達成しているものだと思っていたであろうこと、すなわち初の機械式コンプリケーションウォッチの発表に踏み切った。グランドセイコーは、機械式時計製造における卓越性、最高級の仕上げ、スプリングドライブムーブメントが象徴する創造性、そして独創的なデザインを持ちながら、2022年まで創業から62年ものあいだ機械式のコンプリケーションモデル(GMTを除く)を製造していなかったのだ。しかし彼らは、Kodoをもって見事に成し遂げてみせた。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
グランドセイコーの初代コンプリケーションモデルことRef.SLGT003は、コンスタントフォース機構を備えたトゥールビヨンという、まさにコンセプトカーのような時計であった。日本語で心拍を意味する“鼓動(Kodo)”と名付けられたこの時計は、グランドセイコーのすべてを凝縮していた。また、このモデルはGPHGでクロノメトリー賞を受賞している。光と影を巧みに表現した針やインデックスに加え、高度に磨き上げられた表面とダークな色調で仕上げられたオリジナルKodoの開発秘話についてはジョン・ビューズが取材している。4400万円(税込)、20本限定のこの時計は、懐の温かい大口顧客だけに許された時計であった。しかしこの時計は、ブランドのコレクションに単にコンプリケーションモデルが加わったという以上のものを意味していた。そしていま再び、リシャール ミルスーパーコピーn級品より明るく、しかしそれに勝るとも劣らない大胆なフォルムで我々の前に姿を現した。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
新しいグランドセイコーのKodo "薄明” Ref.SLGT005は、前作のスタイルを継承している。同じくコンスタントフォース(定力装置)機構が付いたトゥールビヨンムーブメントを搭載したこの時計は、少し明るい配色になったとはいえ、実に見慣れた外観をしている。前回のKodoと同様にインナーケースとベゼルはプラチナ950製で、外側のケースサイドとベゼルはブリリアントハードチタン製だ。しかし今回は、“薄明”のテーマを際立たせるシルバートーン仕上げが施されている。

グランドセイコーの担当者によると、前作のKodo発表時はすぐにオーデマ ピゲやリシャール・ミルといったブランドのVIPたちからの問い合わせが殺到したというが、その理由も納得できる。4400万円(税込)という価格であるために、顧客は単に希少性だけでなく、それ以上のものを求めるケースが少なくないだろう。グランドセイコーのコレクションにはこれまでKodoのようなモデルはなかったが、オーデマ ピゲやリシャール・ミル(あるいはランゲのようなブランド)が得意とする奥深さ、複雑さ、オープンワークというテーマが息づいている。ランゲのダトグラフを眺めていると、そのムーブメントに吸い込まれてしまいそうになる。オーデマ ピゲやリシャール・ミルのオープンワークを目にしたとき、視覚的な複雑さが高級感を醸し出し、ブランドが誇る技術的な側面を際立たせているように感じられる。“薄明”のテーマに便乗すると、Kodoはグランドセイコーの新時代の幕開けであり、私たちがグランドセイコーに望む長きにわたるブランドの方向性を示すものである。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
私は前作のKodoを直接見ることはできなかったが、今回の“薄明”は前作とほとんど違いがないにもかかわらず、その第2弾として私を驚嘆させた。さながらWatches&Wonders 2022における巡礼地のひとつであるかのように、前作のKodoについては絶対に見るべき作品であるとダニーが紹介記事のなかで述べている。その衝撃は、決して第1弾に劣るものではなかった。Watches&Wondersでの(セイコーの)最後の回にジェームズとベンと一緒に参加したのだが、ふたりともKodoを見るのが目的だったらしい。私が手早く写真を撮ったあとで輪になって時計を受け渡し、おのおのが時間をかけて鑑賞しながら、グランドセイコーの新時代の息吹に感嘆していた。さらに写真を撮るためにもう1度時計を返してもらったのだが、自分が繰り返し同じ部位に目を奪われていることに気づいた。複雑なビジュアルと革新的な機構を備えたこの時計は、正面から見るとシンプルですっきりとしたデザインにまとめられている。時を告げる針、パワーリザーブインジケーター、トゥールビヨンなどあなたの視線は瞬間的に次々とこれらの要素を巡り、そしてそれを繰り返すのだ。

裏面を見て、私はさらに感動した。表側からはムーブメントが完全に宙に浮いているように見えるが、裏側を見てみると、メインプレートに相当量の細工が残されていることがわかる。より劇的な効果を得るためにどのパーツを取り外すべきかを、グランドセイコーがいかに慎重に決定したかが分かる。前面のスケルトン化されたブリッジは、クレドール 叡智IIなどに見られるような技巧的な仕上げの巧みさを示している。一方で裏面からは、並列して作動する二重香箱など、グランドセイコーの64年にわたる時計技術の革新が感じられる。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
見た目の美しさだけでなく、グランドセイコーがもっとも称賛されるべきはこの点である。基本的にはゼンマイが巻き戻されるとリザーブが枯渇するにつれてトルクが減少し、振動子への動力供給と振幅は低下し、その結果として時計の振動は速くなる。グランドセイコーは、この問題をコンスタントフォースで解決している。コンスタントフォースとは、トゥールビヨン脱進機に直接エネルギーを伝えるために、そのトルクを均等にする緩衝作用を持つ機構である。

コンスタントフォースとトゥールビヨンを組み合わせた時計としてはF.P.ジュルヌのトゥールビヨン・スヴランが有名であり、これ自体はそれほど目新しいことではないように聞こえるかもしれない。ジョージ・ダニエルズをはじめこのコンセプトを採用したモデルはほかにもあるが、ジュルヌの偉業がどれほど名を馳せているかはともかく、このふたつの組み合わせがどれほど希有なものであるかは言うまでもない。裏側と表側の両面から見えるようにトゥールビヨンは入れ子構造になっており、トゥールビヨン用のケージとコンスタントフォース用のケージを備えている。その両方が、吊り下げられた大きな上部構造のなかに収められている。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
トゥールビヨンが1秒間に8回前進する一方でコンスタントフォースのケージはエネルギーを蓄積し、1秒間に1回動作して振動を伝え、同時にデッドビート・インジケーターの役割も果たしている。ご覧のように、コンスタントフォースのケージアームにはパープルのジュエルがあしらわれている(ムーブメントのほかのジュエルはブルーサファイアで、“薄明”というコンセプトを踏襲したユニークな選択である)。また、ムーブメントの裏側には“Sixteenth Note Feel”というエングレービングが施されているのがお分かりいただけるだろう。これは、ムーブメントの2万8800振動/時の振動数と、Cal.9ST1がメトロノームを彷彿とさせる一定のリズムで同期するパルスを備えていることに由来する。たいていのコンスタントフォースは完璧に同期しているわけではない。これは、ブランドの功績を讃えるちょっとしたおまけみたいなものだ。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
Kodoはグランドセイコーが誇る最高峰のケース仕上げのすべてを備えている。ザラツ研磨による鏡面仕上げの部分もあればサテン仕上げの部分もあり、光と影のドラマを生み出している。ブリリアントハードチタンはもはやKodoだけのものではなくなってしまった(今年グランドセイコーからリリースされた私のお気に入りのひとつ、ハイビートの手巻きドレスウォッチにもこの素晴らしい素材が使用されている)が、今回この素材が使用されたことで、グランドセイコーが過去に持ち得なかった技巧的で未来的なデザインが強調されている。白漆を何層にも塗り重ねたホワイトのレザーストラップとの組み合わせにより、グランドセイコーらしい洗練されたパッケージに仕上がった。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
ディテールに話を戻すと、この時計は正面側8時位置にパワーリザーブインジケーターを備えている。フロントとリアに施した面取りと高級仕上げは、アトリエ銀座のチームによるものだ。また、文字盤側のデザインが完全にオープンな割には、驚くほど視認性が高い。そう、サイズは直径43.8mm×厚さ12.9mmとかなり大きいが、ケースのほぼ端から端まで届くムーブメントとディスプレイを備えた時計の視覚的なインパクトにマッチしている。チタンを使用しているため、手首に装着してもそれほどかさばる感じもない(また10気圧防水を備えているため、必ずしも防水性と複雑さの二者択一を迫られることはない)。しかし視覚的なインパクトは絶大で、これほど複雑な時計がこれ以上小型になる(あるいは小さく見せられる)とは誰も思わないだろう。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
前作のKodoと同様に新しい“薄明”は20本限定となっており、2024年12月以降順次納品を予定している。しかしながら、グランドセイコーのチームは今作を10年にわたる研究開発期間を讃えるものとして、総生産本数はわずか40本にとどまると教えてくれた。グランドセイコーはドレスウォッチ、GMT、クロノグラフなどの分野で、ジャパニーズモダンデザインとクラシックなスタイルを融合させたヒット作を世に送り出してきた。しかし、“Kodo”ほどその実力を存分に発揮したモデルはない。グランドセイコーから近い将来、このダイナミックで未来的なスタイルの続編が発表されることを期待している。

The Grand Seiko Kodo "Daybreak"
グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン Ref.SLGT005の詳細については、こちらの紹介記事か、グランドセイコーのウェブサイトをご覧ください。

クリスティーズはシューマッハの時計9点をオークションに出品した。

ときには、時計自体ではなく、その裏にある物語が重要になることがある。ポール・ニューマンの“ポール・ニューマン”デイトナは、そのモデルの最高の例というわけではなかったが、彼の“ポール・ニューマン”だったから高名となったのだ。そして今週行われるクリスティーズ・ジュネーブオークションで出品されるある個体のように、その両方の要素を持つ時計が現れることもある。というのもクリスティーズが販売しているのは、単に伝説的な人物が所有していた時計というだけではない。レジェンド的人物がオーダーし、また別のレジェンド的人物が製作した時計を、ウブロスーパーコピーn級品 代引きそのスポーツにおける史上最高の人物、ミハエル・シューマッハを称えるための贈り物として出品しているのだ。

Michael Schumacher's Watches
今週末のクリスティーズのオークションは、実際には“ミハエル・シューマッハの所有物を含むレアウォッチ(Rare Watches Including the Property of Michael Schumacher)”と題され、F.P.ジュルヌの“ルテニウムコレクション”の全セット(99セット中92番目のセット)が同オークションに出品される(セット用のボックスも含む)。推定価格は最低でも15万スイスフラン(日本円で約2562万円)から。クロノメーター・レゾナンスやトゥールビヨンモデルに至っては最大50万スイスフラン(日本円で約8541万円)に達する見込みである。またデイトナも2本あり、ひとつは交換されたベゼルと追加の“ポール・ニューマン”ダイヤルを持つ金無垢のRef.6241で、もうひとつはRef.6262の“ポール・ニューマン”である。しかし、これらは量産品だ。ストーリーの観点から見る場合、真のハイライトはオーデマ ピゲとF.P.ジュルヌのふたつのユニークピースである。

AP Michael Schumacher
ホワイトゴールドのオーデマ ピゲ ロイヤル オーク クロノグラフは2003年製で、推定価格は15万~25万スイスフラン(日本円で約2565万~4280万円)だ。6時位置のインダイヤルにはアイコニックな“跳ね馬”エンブレム、9時位置にある12時間積算計にはフェラーリの赤と黄色のヘルメットがデザインされている。時計は長年(誇らしげに)使われてきたようで着用感があり、ベゼルには傷が見られる(世界チャンピオンでもロイヤル オークの傷は避けられない)。特に3時位置のインダイヤルと裏蓋には、特別なカスタマイズが施されている。

AP Michael Schumacher
3時位置のインダイヤルの中央には6つの星と数字の“1”があしらわれており、これはシューマッハがオーダーするまでに獲得した6度のF1ワールド・チャンピオンシップに対して敬意を表したものだ。時計の裏側には、シューマッハがチームベネトンで優勝した1994年と1995年、フェラーリで四連覇を達成した2000年と2003年を囲む月桂冠があしらわれている。“Royal Oak”の刻印の下には、当時スクーデリア・フェラーリのレース部門のゼネラルマネージャーであったジャン・トッドから、シューマッハへのクリスマスの贈り物として心温まるメッセージ、“J. Todt pour M. Schumacher, Noel 2003”が刻まれている。

AP Michael Schumacher
翌年、トッドはシューマッハの当時の記録である7度目のワールド・チャンピオンを、今度はF.P.ジュルヌのユニークな作品で祝した。2004年に製造されたプラチナ製のこのユニークなヴァガボンダージュ1は、この時計が実際に市販される2年前(2006年)につくられたもののため、現存するヴァガボンダージュの初期モデルのひとつとなる。さらに推定価格は驚異の100万~200万スイスフラン(日本円で約1億7085万~3億4180万円)と、非常に高額だ。

FPJ Michael Schumacher
ヴァガボンダージュはF.P.ジュルヌにとって、長い歴史を持つ興味深い時計である。1997年、フランソワ=ポール・ジュルヌは“カルペ・ディエム”と呼ばれるユニークな時計を製作した。それは中央に見えるテンプを中心に、ジャンピングアワーとワンダリングミニッツを備えた自動巻きムーブメントを搭載していた。2003年までに、彼はICMチャリティーオークションのためにローズゴールド、イエローゴールド、WGの3種類の金属で、同じワンダリングアワー表示とセンターテンプを備えた3本のユニークピースを製作し、それをヴァガボンダージュと名付けた。この時計は最終的に3つのシリーズで製造され(最後のシリーズは2017年に発表)、その後生産終了となった。

FPJ Michael Schumacher
この裏にもジャン・トッドからミハエル・シューマッハへのクリスマスプレゼントとしての刻印がある。文字盤は前モデルよりも明らかに“フェラーリ”らしい特徴を持っている。F.P.ジュルヌ(彼とブランドの両方)はトッドと密接な関係にあり、2022年のクリスティーズにて200万スイスフラン(当時の相場で約2億4555万円)近くで落札されたこのサンティグラフのように、ユニークな作品を製作してきた。同じくフェラーリレッドが、サンティグラフの量産モデルにも施されることになる。

ここでは、通常の12個のインデックスではなく10個のインデックス、フェラーリのエンブレム、シューマッハのレーシングヘルメットの写真風プリント、彼の7度のワールド・チャンピオンを示す7つのV(ビクトリー)エンブレムなど、フェラーリのデザインが顕著に見られる。このデザインで一番目を引くのは、独特の低解像度なドットマトリックススタイルの文字盤でレトロな雰囲気を醸し出している点だ。どちらの時計も、今週末のセール開始時には、F1コレクターにとって素晴らしい一品となるだろう。

ロンジン ミニ ドルチェヴィータシリーズを拡充し、

ロンジンはシグネチャーラインの“ドルチェヴィータ”を小型化した。1990年代後半からコレクションの定番となっているこのシリーズは、長方形のケースシェイプと1927年の遺産を取り入れたデザインが特徴だ。ちょうど1週間前、私たちはこのブランドの愛らしいミニチュア版ドルチェヴィータの最新作を目にした。この度新しくデザインされたダブル(ナッパーレザー)ストラップ(数色から選択可能)が展開され、シルバーのフランケ(細かいリブ)ダイヤルが追加された。

Longines Mini DolceVita
ミニ ドルチェヴィータコレクションの人気モデルと同様に、ミニファミリーに新たに加わったこのモデルも、21.5mm×29mmのステンレスケース製レクタンギュラーケースに収められており、好みに応じてダイヤモンドの装飾が施されたバージョンを選ぶことができる。昨年リリースされた定番の“コスモ”ダイヤルを持つミニ ドルチェヴィータは、アール・デコのルーツを捨てたとまでは言わないが、ロレックス スーパーコピーn級品アール・デコ時代のデザインを著しく合理化し、よりミニマルなものに仕上げている。

Longines Mini DolceVita
それと対照的に、シルバーフランケの装飾がされた文字盤は、細長く伸びたローマ数字、波打つギヨシェスタイルの加工、焼き入れされたブルーの針、6時位置に追加されたスモールセコンドのインダイヤルなど、アール・デコの華麗さをより強調している。超小型であることを考えれば、それぞれにクォーツムーブメントが搭載されていることも驚きではないだろう。さらにミニ ドルチェヴィータの各モデルは30m防水となっている。

Longines Mini DolceVita
ロンジンというと、まず航空史の歴史を連想しがちだが、このブランドは馬術の世界とも長年つながりがある。新しいダブルレザーストラップのデザインにはその影響が見られる。例えば、ストラップの穴に沿ってホットプレスで印刷された1から6までの番号は、鐙(あぶみ)革を連想させるものだ。ストラップを広げたときの形は、おしゃれでスタイリッシュな厩舎にあるサドルや、ほかの革製品と一緒に並べてもなじむような印象を与える。

我々の考え
特にニュートラルな色のストラップオプションと組み合わせると、ミニ ドルチェヴィータは、どんなフォーマルな場でも着用できるリトルブラックドレスのような時計だという印象を受ける。ほとんど何にでも気軽に合わせることができるし、たいていうまくいく。そして、一般的にクォーツムーブメントに対する懸念はこのコミュニティ内で流布しているが、ときには女性が巻き上げや時刻合わせを気にせずにサッと時計をつけたいだけということもあるだろう。そう、私は最近、時計愛好家の仲間から、彼女は機械式よりもクォーツムーブメントを好むことが多いと聞いたことさえある。人それぞれだ。

Longines Mini DolceVita
正直に言うと、ダブルストラップ全体のコンセプトに最初はあまり確信が持てなかった。一般的に、変化を求めるときは揃いのブレスレットかシンプルな黒のレザーストラップが定番だ。新しいミニ ドルチェヴィータが正式にリリースされる前に試す機会があったのだが、実際手首につけたときには疑念はすっかり消え去った。ロンジンはストラップのデザインで実に多くのことをうまくやっている。最初に少し苦労したが、ストラップを自分で簡単につけることができ、ゆるめに締めると独特のカフのような効果が得られた。手首には3層のレザーが巻かれているように見えるため、“ダブルストラップ”という言葉も少し語弊があるが、通常のダブルストラップよりもエッジの効いたクールさを感じさせる。

Longines Mini DolceVita
また、ミニ ドルチェヴィータの価格も魅力的であることは確かだ。時計を1日中見ていると、何が手頃で何がそうでないのか、基準がずれることは否めない。とはいえ24万5300円(ダイヤモンドなしのバージョン)をわずかに上回る価格は、現在の時計市場の状況やこのモデルの多用途性を考慮してもそれほど高価すぎるとは感じない。ダブルストラップの新鮮さが薄れた場合でも、いつでもブレスレットに交換して基本に立ち戻ることができるのだ。

基本情報
Longines Mini DolceVita
ブランド: ロンジン(Longines)
モデル名: ミニ ドルチェヴィータ(Mini DolceVita)

直径: 21.5mm×29mm
厚さ: 6.75mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: シルバー
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ナッパーレザーストラップ(2023年に登場したアリゲーターストラップ、ステンレススティール製ブレスレットのモデルも展開)

ムーブメント情報
キャリバー: L178(クォーツ)

価格 & 発売時期
価格: 通常モデルは24万5300円、ダイヤモンドがセットされたモデルは56万1000円(ともに税込)
発売時期: 発売中

カルティエ ロンドンによるただの退屈なモデルか?

ロンドンを拠点とするオークションハウス、ウォッチズ・オブ・ナイツブリッジが、非常に希少な18Kイエローゴールドのカルティエ ロンドン マキシ ロンドを出品する。

いま、カルティエのニッチなアーカイブにまつわる話題がホットだ。ヴィンテージ カルティエのオークション相場が上昇しているのは、ソーシャルメディア上の盛り上がりや、カルティエのやや過激な(しかし間違いなく成功している)マーケティング戦略、セレブリティの起用によるところが大きいだろう。そして言うまでもなく、2022年のペブルや昨年のタンク ノルマルのように本格的なコレクター向けのヴィンテージ復刻も改めて注目を浴びている。企業戦略とオーガニックなマーケティングが絡み合い、どこからが本物のブームなのか、最近はよく分からなくなっているようにも思う。ここ数年、セレブリティや大物コレクターがこの時計メーカーを崇拝するようになったことで、カルティエがそのスタイルを取り戻しつつあるのは確かだろう。

Cartier London Maxi Ronde
一方でベン・クライマーは、カルティエスーパーコピーn級品優良通販店「クラッシュは、いまやありふれたものになった」と淡々と主張している。彼が言いたいのは、セレブリティや大金持ちが天文学的な価格の入手困難な(ヴィンテージ)時計や、(現行品でも)注文が困難な時計を身につけている姿があちこちに氾濫しているということだろう。まあ、彼がロンドン クラッシュを例外的なものとしてカウントしていることは付け加えておこう。しかしクラッシュ的なシェイプは飽和状態に達している。コレクターの領分をはるかに超えて、時代の潮流になりつつあるのだ。一部の人間には耐え難いことかもしれないことかもしれないが、私もそうだ!

突然、誰もがクラッシュとは何かを理解し、メゾンのその他のヒット商品についても少しずつ知られるところとなった。カルティエのクラッシュがトリクルダウン効果(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなるとする経済理論)を発揮していることは、最近のオークション結果を見れば明らかだ。昨シーズン、ジュネーブのクリスティーズではクッサン「バンブー」が5万スイスフラン(当時のレートで約840万円)で、カルティエ ロンドンの「ダイス」が13万8600スイスフラン(当時のレートで約2330万円)で落札された。これらのモデルは、事前の見積額を大幅に上回って着地している。そして、今週末のジュネーブ・オークションにも注目すべきだろう。同オークションに出品される特別なカルティエ ロンドンのマキシ ロンドの見積額は4万〜9万英ポンド(日本円で約775万6000〜1745万円)に設定されている。また、レディースサイズのバンブーも同時に出品されており、そちらに興味があれば見積額は6000~1万2000英ポンド(日本円で約116万〜233万円)となっている。

Cartier vintage watches
左:70年代のカルティエ クッサン「バンブー」。右: 1972年のカルティエ ロンドン「ダイス」。

カルティエ ロンドンは一般的に、極めて実験的なイメージが強い。1965年から1973年までパリとニューヨークはカルティエの直営ではなかったが、ジャン=ジャック・カルティエ(Jean-Jacques Cartier)とカルティエ ロンドンのデザイナーであるルパート・エマーソン(Rupert Emmerson)の才能と野心が結集し、デカゴナル、オクタゴナル、マキシ オーバル、マキシ ロンド、ペブル、ロザンジュ、ツインストラップなど風変わりでエキセントリックなモデルが次々に生み出された。

カルティエ ロンドンの最後の年である1972年に製作されたこのマキシ ロンドは、イエローゴールド製としては現時点で2本目、ロンドン製のマキシ ロンドとしては全4本のうちの1本となっている(ホワイトゴールド製は2本存在する)。ジャガー・ルクルト製の手巻きキャリバー(P838)を搭載し、ケース径は35.2mmで厚さ6.55mm。ケースバックにはジャック・カルティエを意味する“JC”の刻印と1972年製であることを示すロンドンのホールマーク、そしてカルティエ ロンドン独自のストックナンバー“1334”が刻印されている。

Cartier London Maxi Ronde caseback
マキシ ロンドは、カルティエ ロンドンが設立したライト&デイヴィス(W&D)の工房で製造されている。 これは戦後の贅沢税により、カルティエ パリ製の人気モデルのロンドンへの輸入が禁止されたことをうけての対応である。W&Dでは主に、カルティエ ロンドンが販売する腕時計を製作していた。1950年ごろ彼らはタンク ノルマルやその他おなじみのモデルを製造しており、ボンドストリートのブティックでカルティエ ロンドンを象徴するようなケースデザインの時計を販売するようになったのは1965年から66年にかけてのことだった。

Cartier London Maxi Ronde on wrist
マキシ ロンドはロンドン カルティエのほかのモデルほど難解ではなく、外観だけを見ればやや控えめな印象だ。「タンク以外のロンドン カルティエがマーケットに受け入れられるかどうかは、非常に興味深いところです」と語るのは、The Keystoneの創設者であり、オンラインオークションプラットフォーム Loupe Thisの共同創設者でもあるジャスティン・グルーエンバーグ(Justin Gruenberg)氏だ。「私にとっては、写真で見るよりも実際に手首の乗せたほうがよく見える、素晴らしい時計です」。グルーエンバーグ氏が購入した最初のカルティエ ロンドンのひとつである1970年製のロンドン デカゴンを、最近私も試着してみた。私たちはふたりとも、この時計がある種の不格好な美しさを有し、グルーエンバーグ氏が私に教えてくれたように“Jolie Laide(フランス語で、美人ではないが愛嬌のある女性)”であることに賛同した。マキシ ロンドとは正反対の、トレンドを感じさせるルックだ。

これはきっと、見た目の美しさではなく、希少性について語るべき時計なのだろう。華やかさにはいささか欠けるマキシ ロンドの生産数はごくわずかで、「このロンドンウォッチが“ハンドメイド”で製造されていたという事実を物語っている」と、HODINKEE専属のカルティエ研究家であるトニー・トレイナは説明する(私がSlackで彼に意見を求めたあと)。「よく考えてみると、“退屈な”丸型のカルティエというのはヴィンテージカタログのなかでも比較的珍しく(そうそう、ロンドのことね)、その事実だけでもおもしろい。それに古いジャガー・ルクルトのムーブメントはいつ巻き上げても素晴らしいものだね」。トレイナに対して、これはクラッシュのブームに対する非常にまっとうな鎮静剤かもしれないと冗談を言った私に、彼は「確かに“ああ、クラッシュやその他もろもろも楽しかったけど、60年代はもう終わったんだ。ラウンドウォッチに戻ろう”って感じだね」と返した。

Cartier London Maxi Ronde
次に何が起こるかは誰にもわからないが、カルティエ熱はすぐに冷める気配はない。 それはブランドがポップカルチャーに長きにわたり与え続けてきた影響の証明である。それこそ王侯貴族から、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler the Creator)までだ。時計界のマニアたちはカルティエの人気はピークに達したと言うだろう。だが、このハイプが一風変わったルックスから来るものなのか、それとも希少性が需要を生むというもっと予測しやすいシナリオに帰結するものなのかは、興味深いところである。

アメリカのウォッチメイキングにスポットライトを当てるコーネル・ウォッチ・カンパニーとは?

アメリカの老舗時計ブランドを復活させるなら、時計職人のローランド・マーフィー(Roland Murphy)氏と提携するのはいいスタートだ。ペンシルバニア州ランカスターを拠点とするこの時計職人は、多くの人にとってのアメリカのウォッチメイキングの象徴的な存在である。そのため、シカゴ出身のジョン・ウォーレン(John Warren)氏が19世紀に故郷で創業した懐中時計メーカーであるコーネル・ウォッチ・カンパニーを再興させたいと決めたとき、マーフィー氏に連絡を取ることにした。

ポール・コーネル(Paul Cornell)は1870年にコーネル・ウォッチ・カンパニーを設立し、ニューアーク・ウォッチ・カンパニーやボストン・ウォッチ・カンパニーといったほかの偉大なアメリカンウォッチメーカーから直接系譜を受け継いでいた。IWCの共同創設者のひとりは、経営難に陥っていたコーネルを助けるためにシャフハウゼンからはるばるシカゴまでやってくるなど、IWCとの関連性もある。オーデマ・ピゲ スーパーコピー代引きしかし残念ながら、それはうまくいかなかった。シカゴ大火と金融危機が重なって、コーネルは1870年代半ばに急速に閉鎖したのだ。

ウォーレン氏がコーネルに夢中になったのは、シカゴの大学で古いアメリカ製の懐中時計を集め始めたときだ。彼は特にコーネルのムーブメントに注目し、その構造や石数、さらにはサインに見られる変化に注目した。彼はコーネルの歴史に魅了され、また地元とのつながりに気づいたとき、その名前を復活させることを決意した。

ウォーレン氏は当初、マーフィー氏にコーネルの古い懐中時計からインスパイアされたカスタム時計を家族や友人向けにつくってもらうよう依頼した。彼は(マーフィー氏のブランドである)RGMのカスタマイズプログラムを使って、コーネルの懐中時計の美しいエナメル文字盤とムーブメントにインスパイアされた時計をデザインしようと考えていたのだ。しかし、マーフィー氏と協力をするうちに、ウォーレン氏は単なる友人や家族向けのプロジェクト以上のものになり得ると感じ、コーネル・ウォッチ・カンパニー再興へと生まれ変わった。

このコラボレーションから生まれたのが、オリジナルのコーネル懐中時計へのオマージュを込めたコーネル 1870 CEである。インスピレーションは、黒いローマ数字とブルースティール針を持つ白のグラン フー エナメル文字盤から着想を得た。そのエナメルはシカゴの新雪のようにきれいで豊かである。またウォーレン氏は、アンティークのコーネルの懐中時計も貸してくれたが、それと比べても類似性は明らかであるが、1870 CEには、RGMにおける現代の技術の粋が込められている。

この時計はマーフィー氏による新しいケースデザインが採用されている。316LSS製で、サイズは39mm径×11.3mm厚(ケース部分だけだと10mm)、ラグからラグまでは48mmである。ケースはていねいに作られており、主にサテン仕上げだが、ラグの面取りとベゼルはポリッシュ仕上げされている。ラグは少し下向きにカーブしていて、ケースの装着感を向上させている。厚く感じるわけではないが、1870 CEがもう少し薄ければ、薄くてエレガントなドレスウォッチとして際立っていただろう。

サファイア製のシースルーバックから見えるのは、1870 CEに搭載される、シュワルツ・エティエンヌ製ASE 200ムーブメントのマイクロローターだ。RGMによってさらに手作業で仕上げ、テスト、調整されている。これは約86時間のパワーリザーブ、フィリップスターミナルカーブを持つらせん状のヒゲゼンマイを備え、2万1600振動/時で時を刻む、技術的に堅実なムーブメントだ。

私はアメリカ中西部で育ち、10年以上にわたりシカゴを拠点としてきたため、コーネルの物語には共感しやすい。エルジン、イリノイ、ロックフォードといった名前は、文字盤上で見慣れている。週末に行われるフリーマーケットやガレージセールでは、インビクタの時計を超えるほど山積みになっているのを見る。それ以上に、文字盤を飾る何の変哲もないアメリカのメインストリートの町々は、私にとって実生活の場所であり、トウモロコシ畑が広がるフライオーバー地方に点在する抽象的な場所ではない。きっとスイスの人々も、文字盤にジュネーブやル・サンティエと書かれているのを見たとき、同じように感じるのだろう。ぜひ、その価値を当たり前だと思わないようにしよう!

さらに見るべきもの: アメリカ時計大紀行

アメリカの時計製造の歴史については、こちらの全4回にわたるシリーズをご覧あれ。

しかし、ウォッチメイキングにおいて感傷だけでは限界がある。1870 CEは現代の“市場”によって埋もれ、忘れられてしまった美しいアメリカの懐中時計からインスピレーションを得てていねいにつくられた、きれいに身につけられる時計である。この時代のアメリカンウォッチメイキングにインスピレーションを求めたのはコーネルが初めてではないが、現代的かつ思慮深い方法で、これほど美的な要素を取り入れている時計はほかにはない。多くのほかの試みは、懐中時計のアイデアを無理に小さな時計に押し込むことで、どこかぎこちなく感じられるのだ。

コーネルにとって、この1870 CEプロジェクトはアメリカのウォッチメイキングに光を当てるための、より大きな取り組みの始まりにすぎないことだ。例えば、販売された各時計のうち500ドルが、ニューヨーク時計協会の奨学金プログラムに寄付され、時計職人の育成に使われる予定である。

cornell watch chicago 1870 CE
ウォーレン氏と私は、アメリカの時計メーカー、技術者、部品メーカーの名簿を作成して編集し、既存の、そして将来有望なアメリカの時計会社を支援しようという、コーネルの広範な取り組みについて何度か話したことがある。1800年代後半から1900年代初頭にかけて、アメリカは世界のどの国よりも多くの時計を製造しており、その多くのプロセスが現在時計業界を支配する日本やスイスのメーカーの基礎となっている。

cornell watch chicago 1870 CE
重要なのは、アメリカを時計の大量生産の地に戻し、最大のメーカーと競争させることではなく(それは実用的でも現実的でもない)、アメリカのウォッチメイキングを合理的に支援することだ。ほかの時計職人からも同様の声を聞いたが、国内には時計製造に応用できる製造技術や職人技が豊富にある。しかし、それらを特定し、促進するのは難しい。

マーフィー氏とのコラボレーションによって始動したコーネル・ウォッチ・カンパニーは、アメリカのウォッチメイキングの過去、現在、そして願わくば輝かしい未来の最高の部分を浮き彫りにする時計をつくり上げたのである。

コーネル 1870 CEの今年の初回生産分10本は抽選で割り当てられ、までコーネルの公式サイトから応募可能です(2024年5月現在は締切)。抽選に参加する際の費用や、購入の義務はありません。1870 CEは限定モデルではありませんが、毎年の生産数は限られます。

H.モーザー ストリームライナー シリンドリカル・トゥールビヨン スケルトンのピンクモデルでF1マイアミの開幕を飾る

グランプリを控えた今週末、モーザーはアルピーヌF1チームとモーザーの新しいブランドアンバサダー、ピエール・ガスリー(Pierre Gasly)氏との新たなパートナーシップを強固なものにするために、数週間前に発表したブルーのストリームライナー シリンドリカル・トゥールビヨン スケルトンの後継モデルを発表した。この時計には、BWTアルピーヌF1チームのユニフォームを表すブルーのアクセントが付いている。もちろんF1を知っている人なら、チームのスポーツカラーはブルーだけではないことをご存じだろう。100本限定生産のLEがブルーだったのに対し、今回は20本限定生産のシリンドリカル・トゥールビヨンがピンクで登場する。

Moser
ピンクバージョンは基本的にブルーと同じだが、ストラップの色が印象的なピンクに変わったほか、12時位置に鮮やかなピンクの小さな文字盤が付いている。42.3mmのケースはドーム型のサファイアクリスタルが施されたスティール製で、ゼニススーパーコピーエレガントにスケルトナイズされたダイヤルには、夜光マーカーとインデックスが配置されている。

モーザーは自社製のHMC 811ムーブメントを使って本物の芸術作品を創造した。ムーブメントの立体感を感じさせると同時に、時計をとおして直接手首の下を見ることができる。

Moser
昨夜のレース開幕記者会見で、モーザーのアンバサダーとして最初の質問に答えるために表彰台に上がったガスリー氏は、1本ではなく2本の時計を身につけていた。どちらもピンクとブルーのモーザー限定モデルである。将来、誰もがこのような機会を得ることはないだろうが、2色のカラーが並んだ時計を見るのはとてもクールだった。

我々の考え
モーザーのF1参入は、それ自体がニュースだ。(創業者の)メイラン家はこのブランドを新しい時代に導き、毎年、高級時計の新鮮なテイクを提供してきた。私はしばしば、ピクセル化された消しゴムや“Apple Watchと呼ばないで”と言わんばかりの時計など、より活気に満ちたリリースを思い出す。しかしここ数年、ストリームライナーはさまざまな意味で有名になり、モーザーの中心的なモデルとしての地位を確立している。

Moser
ブランドの基盤が拡大するにつれて、彼らが新しい分野に進出するのは当然であり、アルピーヌとのパートナーシップは確かに新境地である。これはモーザーのブランディングに対するスタンスを考えるとさらに明確である。ほとんどの場合、その時計のダイアルにはブランド名が表示されず、表示されている場合でもほとんど目立たない。しかしアルピーヌが魅力を感じたのは、自らのブランド理念へのこだわりであり、派手さへのこだわりよりも技術へのこだわりをアピールするためでもあったのだ。

したがってこの最初のパートナーシップは、典型的なレーシングウォッチではなく、むしろモーザーが得意とすることをさらに追求してひねりを加えたものである。数週間前ブルーエディションを聞いたときは気に入っていたが、いま両方の時計を見て、ピンクがとてもクールだと断言できる。失敗しやすい色のひとつであるが、このデザインに程よい派手さを加えている。

Moser
手首に装着すると、42.3mmのサイズは41mm装着感に近く感じられる。ラバーストラップは、モーザーが常に行ってきたこと、つまり時計業界ではあまり注目されていないのだが、最高のラバーストラップを提供している。もちろんこれは20本のみの限定モデルなので、8万9000スイスフラン(日本円で約1505万2000円)という価格を考えると、世界中で多く見かけることはないだろうが、F1マイアミと、いつも我々を興奮させてくれるブランドとの新しいパートナーシップを祝うには本当に素晴らしい方法である。

基本情報
ブランド: H.モーザー(H. Moser & Cie)
モデル名: ストリームライナー シリンドリカル・トゥールビヨン スケルトン アルピーヌ 限定モデル ピンク(Streamline Cylindrical Tourbillon Skeleton Alpine Limited Edition Pink Livery)
型番: 6811-1202

直径: 42.3mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: スケルトン、12時位置にピンク文字盤
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 120m
ストラップ/ブレスレット: ピンクラバーストラップ

Moser
ムーブメント情報
キャリバー: HMC 811
機能: 時・分
パワーリザーブ: 約74時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 28

価格 & 発売時期
価格: 8万9000スイスフラン(日本円で約1505万2000円)
発売時期: モーザーオンラインストアのみ
限定: あり、世界限定20本

ラドー「 ダイヤスター オリジナル スケルトン」~"想像することができるなら実現させてみる"から生まれた時計

1962年に発売されたスイス時計ブランドのラドー 「ダイヤスター」は、当時、他の時計デザインとは異なり、新境地を開く文字通り、「逸品」でした。今でも珍しい独特なフォルムと、極めて強い耐性を持つ炭化タングステン製のケースは、このモデルの象徴的な要素となり、その後何十年に わたり絶大な支持を得てきました。 ダイヤスターは、ラドー創業者のモットーである「想像することができるならば、作り出すことができる。 作り出せるならば、実現させる」を、最もわかりやすい形で表現した時計であるといえます。 この素晴らしい時計の60周年を記念して、ケースの素材をハードメタルからラドー セラモス™ にアップデート。革命的な時計が、現代版へと進化を見せつけるアイコニックな時計へと変身を遂げました。デザインの探求は妥協なく続き、オメガ スーパーコピーNランク代金引換マスター・オブ・マテリアル(マテリアルの名匠)であるラドーの探求精神の中で、そのデザインは進歩を遂げています。

最新モデルでもこの先駆的な取り組みは健在。他の製品シリーズと同様、「スケルトン構造の技法」というラドーの創造的なコンセプトを拡げ、高品質R808自動巻キャリバーを新たに搭載しています。このバージョンは、アンスラサイトグレーのコーティングで、動作中は様々な要素によって補完されており、コントラストの素晴らしい視覚効果を生み出しています。
表裏両面がサファイアクリスタルで、ゴージャスな自動巻ムーブメントのエレガントな造作を余すところなく堪能いただけます。新しい ダイヤスター オリジナル スケルトンは最大80時間パワーリザーブ機能を完備。旅行の際などに慌てる必要もありません。耐磁性ニバクロン™ひげぜんまいが、極めて的確に、信頼性の高い動きで時を刻みます。全5ポジションの標準テスト要件を上回る高精度を実現。新モデルは初代モデルの全体的な外装の特徴を踏襲しているものの、形状はより洗練され、ムーブメントは緻密で現代の最新ムーブメントを搭載しています。

初代ダイヤスターは紛れもなく男らしいデザインでしたが、最新モデルは男性らしさを保ちつつも、独創的で気負うことのないスタイリッシュさを兼ね備えた、真の大人の雰囲気を醸し出しています。オープンな構造と印象的なR808スケルトン・ムー ブメントがダイヤスターオリジナルの新モデルに空気のような軽快感をもたらし、セラモス™のベゼルによって作られた視覚的フレームの中に完璧なデザインの相乗効果を生みだしています。

ムーブメント内部のカラーパーツやバイカラーの針やインデックスが濃色部分を際立たせ、全体的に豊かなコントラストが非常に魅力的です。時計愛好家であれば誰もが認める、非常に興味深い、個性的な設計になっています。 オープンなデザインに、まるで浮き上がっているようなインデックスと針にはホワイトのスーパールミノバ®が施され、暗い場所でも素晴らしい視認性を実現しています。

秒針の形状から表のサファイアクリスタルに至るまで、デザイン段階であらゆるディテールに手が加えられました。秒針は、遊び心を感じさせる粋なデザインへ。表面のサファイアクリスタルには、初期のモデルを彷彿とさせるスクエア型のモチーフをファセット加工し、内側に反射防止コーティングを施しました。ブレスレットは、着け心地の良いポリッシュ仕上げのステンレススチール製の3連タイプ。Hリンクデザインで、ポリッシュ仕上げと艶消し仕上げが交互に現れる魅力的なデザインです。バックルは、お馴染みのステンレススチール製3つ折り式を採用しています。

【仕様】
ダイヤスター オリジナル スケルトン
品番:R12162153

サイズ:38.0 x 45.0 x 11.9 (WxLxH in mm)
ムーブメント:Rado キャリバー R808,
・自動巻
・25石
・3針
・最大80時間パワーリザーブ機能
・耐磁性 
・Nivachron™(ニバクロン)ひげぜんまい搭載
・5ポジションで標準テスト要件を上回る高精度を実現
ケース:ポリッシュ仕上げ、ステンレススチール製インナーケース
・ポリッシュ セラモス™ ベゼル
・サファイアクリスタル(内側)反射防止コーティング/(外側)スクエアファセット加工
・最大10気圧 (100 m)防水
・透明のケースバック
ダイアル:ホワイトのスーパールミノバ®を施したイエローゴールドカラー インデックス
・赤い地板にゴールドアンカーマーク
・白文字のRado とDiaStar ロゴをサファイアクリスタル内面に印字
・ホワイトのスーパールミノバ®を施したイエローゴールドカラーの針、
・イエローゴールド カラーの秒針
ブレスレット:ステンレススチール
・(内コマ)艶消し仕上げ/ (外コマ)ポリッシュ仕上げ
・3つ折れ式バックル、
・EasyClipシステム

希望小売税込価格:299,200円
ブルガリ スーパーコピー発売開始:2023年7月末より、順次全国正規販売店にて発売開始

【お問い合わせ】
ラドー / スウォッチ グループ ジャパン株式会社
Tel: 03-6254-7330

ヴァシュロン・コンスタンタンがSALON 1755 GINZAにて、LESS'ENTIAL (レセンシャル)展示会を開催~

LESS'ENTIAL (レセンシャル)展示会~芸術形式としてのエレガンス。
2023年7月24日(月)から28日(金)、ヴァシュロン・コンスタンタン SALON 1755 GINZAにて展示


• ヴァシュロン・コンスタンタンのタイムピースは、最も複雑な機械部品を洗練された美学で飾るひとつの芸術形式として、エレガンスを培ってきました。
• メゾンは長い歴史を通じて、本質的要素に絞り込んだ多様なデザイン表現を用いながら、時計製造の卓越した専門技術を体現するモデルを生み出してきました。
• ヴァシュロン・コンスタンタンのプライベートコレクションを構成する約1,600点の中から選ばれたこれらのタイムピースは、メゾンならではの純粋なスタイルによって特徴づけられたヘリテージの証しです。


緻密に計算されたプロポーションと調和の追求は、ひと目で見分けられるラインで描かれた純粋で明瞭なフォルムに最もよく表れています。ヴァシュロン・コンスタンタン特有のこの美的デザインの追求は、時製製造に用いられ、複雑機構に欠かせないものとなり、本質的要素に焦点を当てる洗練されたスタイルへと至りました。メゾンにおいて、時計デザインに対するこのミニマルなアプローチが自然なエレガンスとなって表現されています。技術的にそれが見て取れるのは、カルティエスーパーコピーNランク 代金引換超薄型ムーブメントへの技術により表現されています。細部へのこだわり、絶妙なバランスの素材、賢明な構造を持つムーブメントは、控え目ながらも力強く印象的な外観をもたらしています。

エレガンスというコンセプトは、ヴァシュロン・コンスタンタンが実践する時計製造の主要な特徴のひとつです。芸術形式として育まれたエレガンスは、ほとんど自明であることが当然のように自らを主張しています。ヴァシュロン・コンスタンタンの時計が放つ繊細ながら一目でとりこにする魅力は、偶然生まれたものではありません。時計製造の純粋性の探求、複雑機構を搭載する時計の外装に大切な本質的要素の追求は、形と機能とを完璧に融合させる巧みな錬金術に由来します。

時計デザインに対するこのアプローチは、20世紀初頭に足跡を残した2つの芸術運動から影響を受けたのは間違いありません。1919年、建築家のヴァルター・グロピウスが社会生活の新しい形態の基礎を築く目的でワイマールに設立したバウハウスは、芸術作品や工芸品の分野に多大な影響を及ぼしました。新しい実験を存分に試みるのに最適な場となったバウハウスは、機能主義という考え方のもとでシンプルさと永続性を探求し、技術と美的デザインとの融合、芸術と産業との融合を図りました。こうしてアールヌーヴォーの唐草や渦巻装飾は、無駄のない純粋な形態に取って代わられ、そのすっきりしたラインは、新たに産業化された製品の条件に適していました。1920年代以降は、アールヌーヴォー スタイルのような装飾からアールデコが追求する秩序や対称性へと関心が移り、その厳格な幾何学的表現は、古典的な慣例への回帰を意味しました。


新しい美学
日常生活のための道具を作ることを目的とした時計製造は、美の民主化によって強力に促進された、この本質的な要素に焦点を当てたスタイルから逃れることはできませんでした。航空や探検の先駆的時代に機能的な時計の製造や、「鮮明な」ダイヤルを装備した計器としての時計の必要性がますます高まっていたことを考えれば、なおさらそうでした。そこで、時計の構造と機能から新しい美学が生まれ、ヴァシュロン・コンスタンタンはそのデザインコードを以後長い年月に渡って採用することになります。

ヴァシュロン・コンスタンタンのスタイル・アンド・ヘリテージディレクター、クリスチャン・セルモニはこう述べます。
『ヴァシュロン・コンスタンタンではエレガンスと同じ意味を表す時計製造の純粋性という考え方は、その歴史を通じて見られる特徴ですが、20世紀初頭にはそれがさらに明確な形で表れています。機構がいかに複雑で高度な技術が駆使されていようとも、時計デザインにエレガンスが表現され、シンプルこそが洗練になっているのです。メゾンの偉大な特質は、時々のトレンドを象徴する時計を通じて常に時代と同調している点ですが、それは1755年のメゾン創業以来、時計のデザインにさまざまな解釈を施すことによって、この時計づくりの精神を守り続け、メゾンの大きな特徴であることに間違いありません。』


メカニカルアート
ヴァシュロン・コンスタンタンの何世紀にも及ぶ歴史は、スタイルの点で時計産業を代表するだけでなく、時計機構の進化に関してもそうです。時計機構は、ヴァシュロン・コンスタンタンの専門技術が広く認められている分野ですが、とりわけメゾンのエレガンスと完全にマッチする超薄型時計に定評があります。超薄型時計は、付加機能を持たないので時計の複雑機構には含まれませんが、とはいえ精密機械工学の限界に挑む技術的な挑戦であることには間違いありません。。ヴァシュロン・コンスタンタンにおける最初の「薄型」ムーブメントの例は、18世紀後半、創業者ジャン=マルク・ヴァシュロンの時代にまで遡ります。ヴァシュロン・コンスタンタンは、1931年に厚さ0.94mmのムーブメントを搭載したプラチナ製の懐中時計のように薄型で数々の記録を樹立する一方で、これを自社の時計づくりの「スペシャリティ」としました。

クリスチャン・セルモニはこう説明します。
『20世紀の時計産業に超薄型で不朽の記録を残したヴァシュロン・コンスタンタンの懐中時計や腕時計の例は、シンプルなものから複雑なものまで数多く存在します。時計コレクターの間では2つのムーブメントが時計構造の点でその象徴とされるものがあります。ひとつは、創業200年を記念する1955年に向けて開発された手巻きのキャリバー1003です。厚さがわずか1.64mmで、古典的な設計で作られたムーブメントではほぼ限界に達していました。もうひとつは、1967年に発表された厚さ2.45mmの自動巻きムーブメント、キャリバー1120で、それまで作られた中で最も美しい時計構造の例としてたびたび取り上げられてきました。』

これら2つのムーブメントは、発表当時としては前例のない薄さで評判になり、ヴァシュロン・コンスタンタンにおける超薄型機械式ムーブメントの長年に及ぶ伝統の継続に寄与しました。ちなみにキャリバー1120は今もシンプルなタイプと複雑なタイプの製造が続けられています。近年設計されたキャリバー1160、1170、1755、1731と並んで、これらは、ムーブメントの熟達技術を時計の純粋なデザインに役立てる専門領域のまさに縮図です。

“LESS‘ENTIAL(レセンシャル)”とは?
“Less”と”Essential”を組み合わせた造語であり、1919年のバウハウスムーブメントの原則の1つ“Less is more(少ないことは豊かである)”に通じます。これはメゾンの時計製造において「シンプルなデザインを追求することにより、より美しく豊かなものが生まれる」という考えを意味しています。


【展示会概要】
LESS‘ENTIAL展示会
展示期間:2023年7月24日(月)~2023年7月28日(金)
場所:ヴァシュロン・コンスタンタン SALON 1755 GINZA
住所:東京都中央区銀座7-8-8
営業時間:月曜日-日曜日:12:00~20:00
※12:00/13:00/14:00/15:00/16:00/17:00/18:00/19:00の各1時間毎に1回のみ、サロンアンバサダーによる解説が付きます。
https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja/events/ginza.html?_gl=1*74gznf*_gcl_au*OTIzMzg3MjMyLjE2ODkzODkzMTQ.

1世紀を超えるクリエーション
ヴァシュロン・コンスタンタンのプライベートコレクション約1600点の中から「レセンシャル」展示会のために選ばれたタイムピースは、すべてメゾンが探求してきたスタイルを象徴するものばかりです。
ヴァシュロン・コンスタンタンが製造した懐中時計から20世紀後半の腕時計には、機械的な仕組みを明瞭なデザインや機能の読み取りやすさに従わせようとするこの願いが強烈に見て取れます。時計製造におけるミニマリズムという形式は、あらゆるスタイルや素材に適用可能なことを示しながら、気品と優雅さをもって時代から時代へと歩み続けました。クラシカルな表示であれ、ジャンピングアワーのような風変わりな表示であれ、探求は一貫して同じです。すなわち、“LESS'ENTIAL”に焦点を当てるために、シンプルなスタイルを通じて美を探求することで
す。


1.イエローゴールドの懐中時計。ジャンピングアワーによる時、分、スモールセコンドによる秒表示、クォーター・リピーター、ギヨシェ彫りシルバーダイヤル、 1827年
ヴァシュロン・コンスタンタンは、窓で時間数字を表示するジャンピングアワーを1824年に導入しました。これは、正確さを高め、読み取りやすくするために時、分、秒の各表示を分離した「レギュレーター」と呼ばれる時計の系譜に属し、その原理を受け継いでいます。

この18Kイエローゴールドの懐中時計のダイヤルに見られるように、針の本数を減らす巧妙な技術のおかげで、ダイヤルのデザインに創作の余地が一段と生まれました。簡素化し手作業のギヨシェ彫りを施したダイヤルには、シルバー自体の色を生かしてポリッシュ仕上げを施した分と秒のチャプターリングが配されています。本質的な要素に焦点を当てたこのモデルは、ヴァシュロン・コンスタンタンのプライベート・コレクションに属すものでは初のクォーター・リピーターのひとつですが、そうしたチャイム機能で個性が揺らぐことはありません。さらにムーブメントの鍵巻き機構によってもぐらつくことはなく、そのロックは細かなギヨシェ彫りを施したケースバックに現れます。


2.イエローゴールドのスクエア型「イーゼル」懐中時計。シルバートーン・ダイヤル、 1925年
デスククロックやパースウォッチとしても使用出来るようにデザインされていることから「イーゼル」の愛称で呼ばれるこの懐中時計は、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計職人が実用的な日用品の製作に発揮した創意工夫が表れています。

メゾンはこのイエローゴールドの時計の製作をフランスにおける正規代理店を務め、時計の独創的な装飾で名を馳せるヴェルジェ・フレールと共同で行いました。その結果、異例のスクエア型ケースで、シルバートーンダイヤルにレイルウェイのミニッツトラックと12個のアラビア数字を配したイエローゴールドの時計が誕生しました。手巻きムーブメントを搭載するこの1点ものの時計は、当時のアールデコの考え方に完全に合致しており、その洗練された幾何学的なスタイルは、この時計の主要な機能と見事にマッチしていました。


3.ホワイトとイエローゴールドの2トーンのレクタンギュラー型腕時計。ブラック・ダイヤル、 1928年
ケースとラグが調和した腕時計。イエローゴールドとホワイトゴールドのリンクが鮮やかなコントラストを成すジュエリーウォッチ。ゴールド製のバトン型アプライド・インデックスを配したブラック・ダイヤルに繊細な剣型針が映えて完璧な視認性をもたらす機能的な時計。

このモデルは、貴金属素材、頑強な造り、サイズや調和の取れたフォルムの点で控え目なエレガンスを特徴とし、あらゆる日常の場面に適した時計としての個性が際立っています。ヴァシュロン・コンスタンタンと、ブレスレットにその名を刻むパリの代理店ヴェルジェ・フレールとの共同で作られたこの1928年の時計は、女性の地位が大幅に変化する時期に生まれました。女性の解放は、余分なものを取り払った1920年代の典型的なギャルソン・スタイルに象徴され、そうした美意識はこの時計にも反映されています。


4.イエローゴールドのスモールセコンド付き腕時計「ジュビリー」。ブラック・ダイヤル、1935年
「ジュビリー」は、ヴァシュロン・コンスタンタンの起源が1785年と思われていた当時に創業150周年を記念して開発された時計でした。それからわずか10年後、社に保存された資料の新たな発見によって、1785年と信じられていた創業年が疑問視されましたが、1935年の時点でヴァシュロン・コンスタンタンは、12時位置にリュウズを配し、18Kイエローゴールドのケースから伸びる見事にカーブしたラグが流麗なラインにとくに注意を払ったこの時計を正式に周年記念モデルとして発表しました。いくつかの部分に分かれたダイヤルは、3つのゴールドのアラビア数字や6時位置にスモールセコンドを配し「、デュコ」と呼ばれる深みのある濃いブラック塗料でコーティングされています。

「エナメル・ラッカー」としても知られ、1930年代から1950年代にヴァシュロン・コンスタンタンで用いられたこのコーティング塗料は、第一次大戦後にアメリカのデュポン・ド・ヌムール社が自動車の塗装サイクルを3週間から3日に短縮するために発明したものでした。


5.ティアドロップ型ラグが備わるイエローゴールドの腕時計。シルバートーンダイヤル、 1946年
レディスウォッチは、場合によってシンプルで複雑さを排した外観に仕上げたとしても、それはフォルムや機能を徹底的に探求した結果です。女性用の時計のトレンドは、このイエローゴールドによる20mmのモデルに代表されるように、長い間小さなサイズに留まっていました。機械式ムーブメントの小型化は、このような時計の製造に不可欠な必須条件でした。この時計に搭載されたヴァシュロン・コンスタンタンの径8リーニュ、キャリバー153の場合もそうでした。

部品の設計から開発、仕上げ、組み立てまですべて手で行われた時代に、ムーブメントの小型化はまさに技術的快挙でした。この1946年のリファレンス4045は、メゾンが大切にするデザインコードのひとつの「ティアドロップ」型のラグが取り入れられています。「ティアドロップ」という名称はまた、このモデルに求めた流れるようなスタイリングを語っています。ここではあらゆるディテールがそのように考えられ、このモデルにクラシカルな味わいのみならず現代的な感覚をもたらしています。


6.レッドゴールドの腕時計。シリンダー型ラグ、スモールセコンド付き。シルバートーンダイヤル、1937年
1937年に発表されたレッドゴールドの腕時計は、シリンダー型ラグに特徴があり、ストラップ中央の小さなバーによってそれと分かります。この構造は、直径28mmの小さなラウンド型ケースをストラップの延長線上に直角に配置することで、時計に幾何学的な外観をもたらしています。その結果、純粋なフォルムが時刻表示機能の読み取りやすさに貢献し、6時位置にはスモールセコンドが加えられています。外周にミニッツトラックを配したシルバートーンダイヤルは、サンドイッチ構造によってさらに視認性を高めています。ゴールドカラーのベースプレートの上に重ねられたオープンワークのダイヤルは、インデックスやローマ数字を配置する場所が繊細に切り抜かれ、コントラストによって時刻表示が一段と目立つようになっています。またリュウズは、ケースの純粋で滑らかなラインを保つようにケースバンドに「埋め込まれ」ています。

7. ホワイトゴールドの超薄型腕時計。サテンJVEBブラッシュ仕上げシルバートーンダイヤル、1977年
1970年代、機械式時計はクォーツウォッチの襲来によって次第に形勢が不利になり、やがて消費市場ではクォーツウォッチのブームが巻き起こりました。それにもかかわらず、本物の専門技術に基づいて設計された伝統的な時計は、高級時計の愛好者たちから依然として評価され、称賛を浴びていました。そうした愛好家を念頭に置いたヴァシュロン・コンスタンタンは、メゾンが得意とする分野、すなわち超薄型の機械式時計の分野にあらゆる技術を発揮することを続けました。そうした専門技術を駆使した申し分のない例が、1.64mmの手巻きムーブメント、キャリバー1003を搭載するこの時計です。1950年代に開発されたキャリバー1003は、それからおよそ20年もの間、手巻き機械式ムーブメントで最薄と認められていました。

18Kホワイトゴールドのケースに、繊細なホワイトゴールドのアワーマーカーを配したサテンブラッシュ仕上げのシルバートーンダイヤルを組み合わせたこの1977年のモデルは、その控え目で高貴なエレガンスを世代を超えて放ち続けています。


8. ホワイトゴールドのキャンバードスクエア型腕時計。ブラッシュ仕上げシルバートーンダイヤル、1978年
機能性を突き詰める探求には、色の統一も含まれます。ホワイトゴールドによるこの1978年のモデルが例証しているように、それは装飾をいっさい省いた場合になおさら効果的です。ここではモノクロームのコンセプトが細部まで徹底的に貫かれています。ホワイトゴールドのドーフィン型針は、同じ素材で作られた、緩やかに湾曲するスクエア型ケースに呼応しています。また、シルバートーンダイヤルは、インデックスが省略され、ダイヤルとトーンを合わせてシンプルにブラッシュ仕上げを施したヴァシュロン・コンスタンタンの細身のロゴだけが置かれています。レザーストラップだけがこのグレーのトーンとコントラストを成し、そして時計のスリムな外観を実現するのが超薄型手巻きムーブメントのキ ャバー1003です。バランスのとれた形、シャネル時計スーパーコピー 代引き色の調和などこの時計のすべてが、ヴァシュロン・コンスタンタンに本来備わるエレガンスのもうひとつの表現であるミニマリズムに通じます。

【お問い合わせ】
Vacheron Constantin
0120-63-1755(フリーダイヤル)

[ヴァシュロン・コンスタンタン]
1755年に創業したヴァシュロン・コンスタンタンは、270年近く一度も途切れることなく時計製造を続ける世界最古のマニュファクチュールであり、卓越した時計製造と洗練されたスタイルを何世代にもわたり熟練の職人により継承し、輝かしい遺産を守り続けてきました。メゾンが製造する時計は、控えめで気品豊かなスタイルに高級時計の素晴らしい価値が体現され、その一つ一つに、最高峰の職人技と極めて高度な仕上げを施し、ヴァシュロン・コンスタンタンならではの技法や美意識が表現されています。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、そのコレクションを通じて、比類ない伝統と革新の精神を実現しています。「メティエ・ダール」、「パトリモニー」、」「トラディショナル」、「オーヴァーシーズ」、「フィフティーシックス」、「ヒストリーク」、「エジェリー」はメゾンを代表するコレクションです。さらにメゾンでは、時計に精通した時計愛好家のために「レ・コレクショナー」のヴィンテージウォッチや、「レ・キャビノティエ」部門を通じてユニークピースを提案する貴重な機会を提供しています。

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